その他のアルバム1:1960-1961

 ビートルズの音源を集めて行くうちに時折、所属レーベル(Apple,Parlophone,Capito,Odeon等のEMI系列)以外から出されたアルバムを見かける事があると思います。ディスコグラフィーにも殆ど記載されていない、ましてや非正規なブートでもない…。知らない曲が入っているもの珍しさでそれらを集めて聴いてみたら、どれも同じ音源だった…なんて事も。

アーティストの人気が出ると、それに便乗して他社が「デビュー前」「売れる前」「移籍前」「セッション参加音源」等をかき集めて発売されるのはよくある事で、それはビートルズもご多分に漏れず。それらがさらに手を替え品を替え乱発され、市場を混乱させる事も。ビートルズの場合、どういったものがあるかというと…

◉1958〜1960年、The Quarry Men時代
◉1961年6月、ドイツ・ハンブルクで録音されたトニー・シェリダンとのセッション
◉1962年1月1日、デッカ・レコードでのオーディション
◉1962年12月、ドイツ・ハンブルク"Star Club"でのライヴ音源
◉インタビュー音源(複数あり)

これらは歴史的には貴重な音源と呼べる反面、バンドの個性が確立される前段階な場合が多く、過度の期待はしない方がいいと思います。それでもビートルズが広く知られる以前の姿を垣間みる事が出来るものに違いないので、ここからはそれらの中から代表的なものを取りあげて行きます。
[1958〜1960年、The Quarry Men時代]

 ビートルズの黎明期の音源は『Anthology 1』(1995年)に5曲が収録されていますが、それ以外にも音源は存在します。とはいっても正規盤として発売されているわけでもなく。ところが最近、1960年に録音されたホーム・デモがDL配信版としてリリースされています。
(iTunes版)

(Amazon MP3版)

これちょっと権利関係はどうなってんだろ?な感じもしなくはないので、知らぬ間に販売終了になってリンク切れになっている可能性がある事をあらかじめご了承ください。グレーゾーンなアイテムですけど、「One After 909」「I'll Follow The Sun」「Hello Little Girl」がこの時点で既に書かれていた&後に発表されたのとは何かと違う点が多いのが興味深い。
[1961年6月、ドイツ・ハンブルグでのトニー・シェリダンとのセッション]

 1961年6月、ドイツ・ハンブルクでの巡業中にビートルズは、当時同じくドイツで活動していたTony Sheridanのレコード制作の際にバック・バンドとして招かれ、これがビートルズにとって初の公式録音となります。ちなみに当時メンバーだったスチュワート・サトクリフ(b)は絵に専念するために脱退、ポールがベース担当に替わり4人編成に。そしてレコーディングされた曲は以下の通り。

(1961年6月22,23日)
「My Bonnie」
「The Saints (When the Saints Go Marching In)」
「Why」
「Nobody’s Child」
「Cry For A Shadow」(※The Beatlesの単独演奏)
(1961年6月24日)
「Take Out Some Insurance on Me, Baby (別名:If You Love Me, Baby)」
「Ain't She Sweet」(※The Beatlesの単独演奏)
(1962年5月24日:追加録音)
「Sweet Georgia Brown」
「Swanee River」

 聴き所はなんといってもジョンが歌う「Ain't She Sweet」、ジョージとジョンによる唯一の共作でインストの「Cry For A Shadow」、そしてアップ・テンポのロックン・ロール「My Bonnie」の3曲。この中から「My Bonnie」が「The Saints (When the Saints Go Marching In)」とのカップリングでまずドイツでシングル・レコード化(1961年8月頃)され、続いてイギリス(1962年1月)、アメリカと日本(1962年4月)でも発売されますが、中でも地元・リバプールでは「ビートルズが遂にレコードを出した」事で話題となり、これがやがてブライアン・エブスタインとの出会いに繋がる事になります。

 後々ビートルズが世界的な成功を収めるとこの時代の音源が蔵出しされ、「Ain't She Sweet」が1964年にシングル・ヒット(英24位/米19位)したほか、アルバムもビートルズ名義で手を替え品を替え状態で乱造される事に。注意点はビートルズが演奏していない音源が含まれて水増しされている事で、トニー・シェリダンが別のバック・バンドを従えて録音したもの混在しています。ビートルズではない演奏(The Beat Brothers)にはバック・コーラスがなく、ピアノやオルガンが入っているのが主な特徴。ビートルズの演奏には低音のバック・コーラスが入っていたり、時々ポールがはしゃいでいる声が聞こえたり。

 歴史的に重要な音源な反面、本来の主役はトニー・シェリダンで、ビートルズはあくまでバック・バンド。「Ain't She Sweet」「Cry For A Shadow」はついでに録音させてもらったようなものでした。それが人気が逆転したために"ビートルズのレコード"として現在も流通しているという…。音楽性もトニー・シェリダンの指向が反映されたものなので、"ビートルズを聴いている"感覚は薄く感じるでしょう…。なので、重要曲のみ聴きたい方は『Anthology 1』を先に押さえるのもいいのではないでしょうか。

[主なアルバム]
 音源は現在も手を替え品を替え様々な形態で発売されており、その中から代表的なものをピック・アップしていきます。
[1CDもの]

マイ・ボニーマイ・ボニー
(1994/02/25)
ザ・ビートルズ / トニーシェリダン &ビート・ブラザーズトニー・シェリダン

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◎1981年に2枚組LPとしてリリースされたアルバムを1枚のCDにしたもの(上記リンクは1994年再発盤)。全24曲入りで、そのうちビートルズが演奏しているのは8曲という…(苦笑)。ちなみに「Sweet Georgia Brown」はビートルズがバックの演奏テイクで収録されていますが、トニー・シェリダンのヴォーカルを後で歌い直したヴァージョンで収録。

イン・ザ・ビギニングイン・ザ・ビギニング
(2000/12/16)
ビートルズ・フィーチャリング・トニー・シェリダンビートルズ・ウィズ・トニー・シェリダン

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1. Aint She Sweet / The Beatles
2. Cry For A Shadow / The Beatles
3. Let's Dance / Tony Sheridan and The Beat Brothers
4. My Bonnie
5. Take Out Some Insurance On Me,Baby
6. What'd I Say / Tony Sheridan and The Beat Brothers
7. Sweet Georgia Brown / Tony Sheridan and The Beat Brothers
8. When The Saints Go Marching In
9. Ruby Baby / Tony Sheridan and The Beat Brothers
10. Why
11. Nobodys Child
12. Ya Ya (Parts 1 & 2) / Tony Sheridan and The Beat Brothers

◎2000年に発売されたCDで、全12曲収録。日本盤は歌詞・解説書付き。解説書でも触れられていますが、ブックレット及び曲目表にクレジットの誤りがあり、「Sweet Georgia Brown」はビートルズの演奏ではなくThe Beat Brothersの演奏で収録。ここではビートルズの演奏ではない音源はグレーで表記しました。

アーリー・テープス・オブ・ザ・ビートルズアーリー・テープス・オブ・ザ・ビートルズ
(2009/06/24)
ザ・ビートルズザ・ビートルズ with トニー・シェリダン

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1. Aint She Sweet (Alternate Version)/ The Beatles
2. Cry For A Shadow/ The Beatles
3. When The Saints Go Marching In
4. Why
5. If You Love Me Baby(=Take Out Some Insurance On Me,Baby)
6. What'd I Say / Tony Sheridan and The Beat Brothers
7. Sweet Georgia Brown
8. Let's Dance / Tony Sheridan and The Beat Brothers
9. Ruby Baby / Tony Sheridan and The Beat Brothers
10. My Bonnie
11. Nobodys Child
12. Ready Teddy / Tony Sheridan and The Beat Brothers
13. Ya Ya (Parts 1 & 2) / Tony Sheridan and The Beat Brothers
14. Kansas City / Tony Sheridan and The Beat Brothers

◎こちらは80年代に出ていたCD『The Early Tapes Of...(タイトル省略)』のジャケットを替えて再発したもの。全14曲収録で、そのうちビートルズの演奏は8曲。ちなみに「Aint She Sweet」はピート・ベスト以外の人物によってドラムがオーヴァー・ダビングされたモノラル・ヴァージョンで、『Anthology 1』にも収録。

[2枚組CD]
ファースト!+18 (デラックス・エディション)ファースト!+18 (デラックス・エディション)
(2005/02/09)
ザ・ビートルズ・フィーチャリング・トニー・シェリダン

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ファースト!<デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様)ファースト!<デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様)
(2009/09/09)
ビートルズ・フィーチャリング・トニー・シェリダン

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◎2枚組デラックス・エディションは輸入盤に日本語ブックレットをつけたものと、日本製作の紙ジャケット仕様の2種類がリリースされています。アルバムのモノ&ステレオ・ミックスや別ヴァージョン等を収録。

Beatles With Tony Sheridan: First ReBeatles With Tony Sheridan: First Re
(2011/11/08)
Beatles

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◎こちらも2枚組ですが、ユニヴァーサル以外のメーカーからのリリース。アルバムのモノ&ステレオ・ミックスや別ヴァージョン等を収録。

I SAW HER STANDING THEREI SAW HER STANDING THERE
(2013/04/15)
THE BEATLES

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◎2013年にリリースされたCDで、Disc 1にトニー・シェリダン絡みの音源が収録されています(こちらもビートルズの演奏ではないものも含まれています)。このCDに関しては別の記事で取りあげましたのでそちらを是非。
http://benice.blog.fc2.com/blog-entry-1260.html
Part 2 : Decca Tapesへ進む。
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(作成:2003年7月29日/加筆訂正:2010年10月23日、2013年7月26日,8月12,15,16,26日,12月20日)
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[ 2003/07/29 18:01 ] The Beatles関連 | TB(0) | CM(0)

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