The Byrds : Fifth Dimention (1966.7)


1. 5D (Fifth Dimension)
2. Wild Mountain Thyme
3. Mr. Spaceman
4. I See You
5. What's Happening?!?!
6. I Come And Stand At Every Door

7. Eight Miles High
8. Hey Joe (Where You Gonna Go)
9. Captain Soul
10. John Riley
11. 2-4-2 Fox Trot (The Lear Jet Song)
Jim McGuinn (12-String Guitar,Vocals)
David Crosby (Rhythm Guitar,Vocals)
Chris Hillman (bass,Vocals)
Michael Clarke (Drums,etc.)

Gene Clark (Tambourine,Harmonica,Vocals/Track 7,9)
Van Dyke Parks (Keyboards/Track 1)

Produced by Allen Stanton

⚪️1966年7月発表の3作目。前2作でフォーク・ロックを確立させたThe Byrdsは、当時メンバーが好んで聴いていたJazz、インド音楽、はたまたThe Zombies「She's Not There」の自由度の高いキーボード・ソロ等からインスパイアされた実験的なサウンドを模索し始め、1965年12月22日に新曲「Eight Miles High」「Why」をレコーディング(註:レコード契約上の問題で翌1966年1月下旬に再録)し、1966年3月14日にシングルとして発表。「Eight Miles High(霧の8マイル)」はJohn Coltraneの演奏からヒントを得た12弦ギター(ちなみに1996年にBBCが製作したロック・ドキュメンタリー番組『ダンシング・イン・ザ・ストリート』の"霧の8マイル"という回で、Roger McGuinnが曲の構造を実演を交えて解説していた事がありました。たしかタイトルを変えてDVD化されていたような…)、力強いリズム・ギターとベース、ジーン・クラーク節とも言えるマイナー調のメロディが見事に融合。サイケデリック・ロックの先駆けとなったこの曲で一気にロック・シーンの最先端のバンドへと飛躍を見せます。

 ところがシングル発売とほぼ同時期、Gene Clarkが様々な理由が積み重なった末にバンドから離脱。新曲「Eight Miles High」も従来の3分間ポップスの範疇を超えた難解なサウンドと、幻覚を連想させる歌詞が物議を醸しラジオ局がオンエアをボイコットする事態までに発展。6月発売のシングル「5D (Fifth Dimension)」もシンプルなフォーク・ロック路線にもかかわらず同じく歌詞が問題視される羽目に。ヒット・チャートだけを追いかけている層にとってのThe Byrdsは、記憶の中ではここまでの可能性が…って、まだアルバムの話まで行ってないのにこんなに長くなるとは…😅

 で、ようやくアルバムの話題へ。前2作を手がけたプロデューサーのTerry Melcherは、「Kicks」のヒットで知られるPaul Revere & The Raidersとの作業で多忙となりAllen Stantonと交代。収録曲はこれまでの主力だったBob DylanとGene Clarkの曲が無くなり、メンバーのオリジナルが7曲、カヴァーが4曲という構成。そのため前2作とは雰囲気や歌詞の内容などガラッと変わった印象が。

 アルバム・タイトルにもなった1「5D (Fifth Dimension)」はSF的な歌詞が印象的なRoger McGuinnの作品で、レコーディングではVan Dyke Parksがオルガンでゲスト参加(話が脱線:この曲が録音された1966年5月、David CrosbyはVan Dyke Parksを連れてBrian Wilsonの自宅へ訪れる。これがきっかけでBrian WilsonとVan Dyke ParksはThe Beach Boysのアルバム『SMiLE』の作曲に取り掛かる事に。当時The Beatlesとのクリエイティヴな交流はThe ByrdsのみならずThe Beach Boysとも行われていた)。

 同じくシングル発売された3「Mr. Spaceman」もRoger McGuinnの作品で、C&Wのサウンドに乗せて宇宙人との遭遇をコミカルに描いた曲。9「Captain Soul」はインストゥルメンタルのジャム・セッションで、途中からGene Clarkがハーモニカで演奏に参加。

 このアルバムで一際目立つのはDavid Crosbyの作品で、ミステリアスでスリリングなJazz Rock4「I See You」は後にイギリスのThe ActionやYesがファースト・アルバム(1969年)でカヴァー。5「What's Happening?!?!」では"I Don't Know〜♪"と歌うと12弦ギターがそれに答える(?)、インド音楽からの影響を感じさせる一曲。

 David Crosbyはデビュー前からオリジナルを書き、ブルージィーなカヴァー曲をレパートリーにしていながらThe Byrds内では却下される事が多く(それを裏付けるように、各リマスターCDのボーナス・トラックには彼の曲が多い)、8「Hey Joe (Where You Gonna Go)」もそうした中の一曲。友人のDino Valenteからこの曲を伝授されるもメンバーに反対され、そうこうしている内にThe Leaves、The Standells、Loveが次々とレコード化…。The Byrdsもここでようやくアルバムへの収録が実現する事に(ちなみに増えイド・アウトしない別ヴァージョンが4枚組BOX『The Byrds(フライト'65〜'90)』に収録)。The Byrds版も他のバンド同様にアップ・テンポで演奏されていますが、この後Jimi Hendrix Experienceが1966年12月、この曲をスロー・テンポでデビュー・シングルとして発表。現在ではジミヘン版が浸透しているようです。他にもカヴァーが大量にあり(こちらに一覧表がある)、スロー版ならジミヘン、アップ・テンポならザ・ゴールデン・カップス(1968年)がベストでしょう(個人的な印象)。

 他ジャンルとのミクスチャーな曲が多い中、従来のフォーク路線も含まれていて、2「Wild Mountain Thyme」10「John Riley」は共にJudy Collinsが『A Maid of Constant Sorrow』(1961年)収録曲。2曲共にバンド初のストリングスが導入されたものの、単調な印象は否めず…(と書きましたが、原曲に触れてみるとちょっと印象が違ってきますね)。「John Riley」ではChris Hillmanのメロディアスなベースが早くも聞けるのが興味深いところ。

 重い曲調の6「I Come And Stand At Every Door」は反戦歌で、Pete Seegerが「Great Selchie of Skerry」という曲のメロディに、1956年に書かれたという広島の原爆を題材にした詩を乗せもの。そうした内容のため多くのカヴァーが存在し、近年では元ちとせが別のメロディと日本語詞で歌ったものがアルバム『平和元年』(2015年)に収録されています。

 ラストは11「2-4-2 Fox Trot (The Lear Jet Song)」はモールス信号やジェット機のSE、管制塔とのやりとり等を交えたサウンド・コラージュ的な作品。本作以降もこうした、空や宇宙をテーマにした作品が度々登場する事になります。

(YouTubeより)

🔵「Mr. Spaceman」。Gene Clarkが一時的に復帰した時のテレビ映像より。

🔵「I See You」

🔵「Eight Miles High」
[CDについて]

[a:1996年リマスター盤]

(1996年輸入盤CD:Legacy CK 64847)


Track 1〜11・・・Original Albums
(Bonus Tracks)
12. Why (Single Version/Stereo Mix)
13. I Know My Rider (I Know You Rider)
14. Psychodrama City (Alternate Mix)
15. Eight Miles High (RCA Studios Version)
16. Why (RCA Studios Version)
17. John Riley (Instrumental Version)

◎アメリカSonyのリイシュー・レーベル、Legacyから発売されたCD。1996年リマスター音源で、ボーナス・トラック6曲追加で全17曲入り。ブックレットにはライナー・ノーツや写真を掲載。

🔵12「Why (Single Version)」は新規Stereo Mixで、『Never Before』収録版とはミックスが異なる。


🔵13「I Know My Rider (I Know You Rider)」は4枚組BOX『The Byrds (フライト'65〜'90)』に収録されていた2つ目のStereo Mixで収録。『Never Before』収録版とはミックスが異なる。

🔵14「Psychodrama City」はこれで3つ目のStereo Mix。4枚組BOX『The Byrds (フライト'65〜'90)』収録版のヴォーカルがダブル・トラック処理されていたのに対し、1996年版はディレイがかけられているほか、2分52秒付近で他のミックスには含まれていない声が聞こえる。2012年にMono Mixが発掘されるので、この曲は4つのミックスが存在する事になります。


🔵15「Eight Miles High」16「Why」はお蔵入りとなった1965年12月22日@RCAスタジオでの初期別テイク。2曲共に『Never Before』が初出。

🔵17「John Riley」はジャジーなインストの別テイク(未発表)。アルバムよりもアップ・テンポで、本番の合間に演奏されたとの事。1966年2月21録音。で、この後に隠しトラックあり(17分弱もあるのはそのため)。

(1997年日本盤CD:Sony SRCS-9224)

◎上記1996年リマスターCDの日本盤で、"SUPER 1600 NICE PRICE"シリーズの一つとして発売されたもの(『Mr. Tambourine Man』〜『Ballad Of Easy Rider』までは赤い帯で統一)。アメリカ盤にあったカラー・ブックレットが省かれ、代わりにモノクロの解説書が付けられています。歌詞・対訳付き。

(2003年紙ジャケット仕様日本盤:SME Records MHCP-68)

◎2003年8月に発売された日本盤。紙ジャケット仕様で、CDの内容はLegacy盤(1996年リマスター)と同一。歌詞・対訳・解説書付き。

(2005年日本盤CD:MHCP-634)

◎2005年4月に発売された日本盤。内容はLegacy盤(1996年リマスター)と同一で、帯は赤から白に変更。歌詞・対訳・解説書付き。

[b:2012年リマスター盤]

(2012年紙ジャケット仕様日本盤:Sony Music Japan SICP-20374)

霧の5次元(紙ジャケット仕様)霧の5次元(紙ジャケット仕様)
(2012/05/30)
ザ・バーズ

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Track 1〜11・・・Original Album Mono Version
Track 12〜14・・・Mono Bonus Tracks
12. Why (Single Version)
13. I Know My Rider (I Know You Rider) (Mono Mix)
14. Psychodrama Cuty (Mono Mix)
Track 15〜25・・・Original Album Stereo Version

◎2012年に発売された日本盤。日本独自企画によるDSDリマスタリング、紙ジャケット仕様で、盤はBlu-spec CDを採用。他のCDとは異なり、Mono & Stereo両ミックスを収録し、ボーナス・トラック3曲を収録。歌詞・対訳・解説書付き。

(作成:2004年4月9日/更新:2015年10月23日)
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