The Beatles : 2009 Remaster + "The Beatles In Mono" (2009)

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◎(前回の記事からの続き)で、リマスター盤。昨日の午後11時40分、ようやく聴けました…やれやれ。これを聴くためにあらゆるものを犠牲にしてしまいましたが…(謎)。諸事情により輸入盤(EU)にしました。

 リリースに際し、発売前からキャンペーンや号外が出たり、午前0時に販売をしたりとかとかなどなど。そこまでやらなくても・・・ってくらいに大袈裟で。別格だという意思表示かもしれないけど、大袈裟と思うのは性格的に「盛り上がるのは好きだけど騒がしいのは苦手」ってのもありますが…(^_^; 本来なら60年代のバンドじゃなくて、現在新曲出しまくっている人達が今…(以下自粛)。
[1 : リマスター盤・バラ売り及び"ザ・ビートルズBOX"]
(日本盤)

⚪️『ザ・ビートルズ BOX』(TOCP-71021〜36)

(輸入盤)


(1)『Please Please Me』(ステレオ盤は初CD化/2曲のみMono Mixに変更)
(2)『With The Beatles』(ステレオ盤は初CD化)
(3)『A Hard Day's Night』(ステレオ盤は初CD化)
(4)『Beatles For Sale』(ステレオ盤は初CD化)
(5)『Help!』(音源は1987年Remix版を採用)
(6)『Rubber Soul』(音源は1987年Remix版を採用)
(7)『Revolver』
(8)『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』
(9)『Magical Mystery Tour』(旧盤CDと同一Mixを採用/米Capitol盤LPとは一部Mixが異なる)
(10)『The Beatles』
(11)『Yellow Submarine』("Only A Northern Song"のみMono Mixに変更)
(12)『Abbey Road』
(13)『Let It Be』
(14)『Past Masters』

(主な特徴)

⚫️ 全曲2009年リマスター音源。
⚫️ 各アルバムは"デジ・スリーブ"または"デジ・パック"と呼ばれる紙製のパッケージを採用。LPジャケットのデザインをミニチュア化した、通称"紙ジャケット"とは似て非なる別物。
⚫️ (1)〜(13)はパソコンにセットすると観られるミニ・ドキュメンタリー映像を収録(CD-EXTRA仕様)。
⚫️ ブックレットには英文解説書と写真を掲載。ちなみに(8)(10)と(9)の5曲のみLP同様に歌詞を掲載。
⚫️ 日本盤用ブックレットのみ解説、歌詞・対訳・英語ブックレット翻訳付。
⚫️ 日本盤バラ売りのみ帯付き。ボックスは外箱用の帯はありますが、各アルバム用の帯はなし。
⚫️ ボックス・セットのみCD-EXTRAと同内容のミニ・ドキュメンタリー映像を収録したDVD付(日本盤のみ日本語字幕付き)。

(1987年〜2009年まで流通していた"旧盤CD"との主な違い)

🔵 旧盤CDは通常のプラ・ケース仕様(『SGT. Pepper...』の日本盤はスリップ・ケース付き)。対して2009リマスター盤CDのパッケージはデジ・スリーブ仕様。
🔵 旧盤CDではモノラル盤だった(1)〜(4)は、今回ステレオ盤に変更。
🔵 旧盤CDでは2枚バラ売りされていた『Past Masters』は、2枚組に変更。
🔵 LP時代に慣れ親しんだ疑似ステレオ・ミックスは極力排除。
🔵 「Love Me Do」「P.S. I Love You」「She Loves You」「I'll Get You」「Only A Northern Song」等はOriginal Mono Mixを使用 or 差し替え。

(初登場音源)

🔴 「Only A Northern Song」の"純正なMono Mix"は今回初登場。
🔴 「Thank You Girl」のStereo Mixは、アメリカ盤LP『The Beatles' Second Album』(1964年)での深いエコーのかかったものではなく、"加工前"のミックスで収録。こちらも今回初登場。

 ちなみに『Help!』『Rubber Soul』は旧盤CD同様、ジョージ・マーティンが1987年に作成したリミックス版が採用されています。1965年のOriginal Mixより鮮明になった分、エコー成分のみ80年代っぽいという…(笑)。これについてはジョージ・マーティンが書籍『コンプリート・ビートルズ [リマスターCD公式ガイド]』(集英社インターナショナル/2009年)で触れていますので興味のある方は是非。LP時代に慣れ親しんだ"1965 Original Stereo Mix"は、今回『The Beatles In Mono』(白い箱)にボーナス・トラックという形で収録されています。

⚪️ 海外ファンによる、ボックス・セットの中身を紹介する映像。特に"デジ・スリーブ"のパッケージの形態が気になる方は是非。ちなみに再生ボタンを押した後、右下の設定をクリックすると全画面で観る事ができます。

⚪️ こちらは2009年発売時物議を醸した例の…。その後大分減ったようですが、もし中古で妙に安く売られていたら細かく検品したほうがいいかも。
(2009年リマスタリング)

🔵 まずは基本的な部分から。今回発売されたものはオリジナル・マスター・テープからの"リマスター"で、新たに"リミックス"されたものではありません(90年代はよく混同されていました)。ちなみに『Help!』『Rubber Soul』は"1987年Remix音源からのリマスター"になります(ややこしい)。

 "リミックス"の場合、マスター・テープより前の素材(マルチトラック・テープ)まで戻って作り直すので、音の配置・エコー等エフェクトのかかり方がオリジナルとは異なります(2015年盤『1』は"リミックス"になります)。

🔵 1987〜8年の旧盤CD制作時はデジタル技術が発展途上で、(ノイズ対策で曲の前後が微妙に短くされているなど)マスタリングも万全とは言い難く、今回は十分な時間をかけて、最新技術で微調整を行っています。違いがハッキリ出た曲もあれば、さほど印象が変わらない曲も。人の声やアコースティックな楽器(弦楽器など)に特に効果が出ている印象が。リマスター・チームによると、テープの状態が優れているものは「全く手をつけていない」か「殆ど微調整を行っていない」という曲もあったそうです。あとは聴いてからのお楽しみ。

🔵 "リマスター"は音質調整だけでなく、ノイズのクリーニング、誰も気に留めないような箇所の修復作業も含まれています。例えば拍手や「パ行」を発音した時に出る破裂音も丹念に手入れをしたり。クリーンになったと感じる方もいれば、逆に「あのザラつきが良かったんだよねぇ〜。」と、聞き手によって反応も様々。

 そういえば「"Hey Jude"の手拍子が引っ込んでる」的な意見をどこかで読み、気にした事が無かったので意外でした。音楽と直接関係ない音も、エンジニアには"雑音"と判断され、リスナーにとっては記憶で、知らずと愛着を抱いたり。でもこれはリマスターの良し悪しというより、好みの問題だと思います。

(以前にもリマスター音源はリリースされていた)

 ビートルズの"デジタル・リマスター"は今回初ではなく、オリジナル・アルバムのCD化が一段落後、90年代以降に発売された編集盤CDで度々行われていました。

🔵1993年版『赤盤』『青盤』(プラ・ケース仕様)の裏側の曲目の左下に"DIGITALLY REMASTERED"という表記があり、主にヒスノイズ(曲の後ろで"シャー"と聞こえる雑音)の除去が行われています。

🔵『1』(2000年発売/プラ・ケース)と『The Capitol Albums』では、2000年代リマスターCDの傾向に合わせ、音圧がグンと上がった印象。

 ビートルズのこれまでのマスタリングの過程に関しては『THE DIG Special Issue ザ・ビートルズ CDエディション』に詳しく触れられていますのでそちらも是非。
[2 : The Beatles In Mono (ザ・ビートルズMONO BOX)]
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(収録アルバム)
『Please Please Me』
『With The Beatles』
『A Hard Day's Night』
『Beatles For Sale』
『Help!』(Mono+1965 Stereo Mix)
『Rubber Soul』(Mono+1965 Stereo Mix)
『Revolver』
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』
『Magical Mystery Tour』
『The Beatles』(2CD)
『Mono Masters』(2CD/初登場作品)

(ボックスに含まれていないアルバム)
◉『Abbey Road』
◉『Let It Be』
◉『Past Masters』

(主な特徴)

🔵 全曲2009年リマスター音源
🔵 Original Mono Mix185曲を収録
🔵 『Help!』『Rubber Soul』には"1965 Original Stereo Mix"も併して収録
⚫️ 44ページ英語ブックレット付き
⚫️ オリジナルLPジャケットをミニチュア化した紙ジャケット仕様(日本製)
⚫️ 日本盤のみ解説、歌詞・対訳、英語ブックレット翻訳を掲載した200ページ日本語ブックレット付き

◎ モノラル盤はボックス・セット『The Beatles In Mono(=MONO BOX)』にまとめられました。僕は輸入盤を購入…で、驚いた事にジャケットも盤も"Made In Japan"でした。2001年頃にSmall Faces『Ogdens' Nut Gone Flake』の円形ジャケットを再現した日本製紙ジャケがイギリス音楽誌で取りあげられた程なので、その質の高さが海外に伝わっているということでしょう。

 よく出る話題として、1960年代はラジオやレコード等の再生機器が1スピーカーのモノラルが一般的で、音源も必然的にMono Mixで発売されていました。ステレオ再生機器はまだ手の届きにくい存在で、Stereo盤もついでに作られたようなものでした(あってもJazzやClassicが殆ど)。それが1970年代以降立場が逆転し、Mono盤は(1987年に初期4作品がCD発売された以外は)殆ど再発売される事なく忘れ去られた存在に。今回も一般流通のバラ売りはStereo盤のため、Mono盤はこのようなボックスでまとめられた形に。

 ちなみに『Abbey Road』『Let It Be』がないのは、元々ステレオ盤しかないため(もし世界のどこかでMono盤があったとしても、それはStereoをMonoに変換コピーしただけ)。『Yellow Submarine』もStereoをMonoに変換コピーしたもののため今回対象外。ただし一部は今回登場の『Mono Masters』に含まれています(→『Past Masters (Vol.2)』の項目を参照)。
[Mono Masters]

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[Disc 1]
1. Love Me Do (Original Single Version)
2. From Me To You (Mono Single Version)
3. Thank You Girl (Mono Single Version)
4. She Loves You
5. I'll Get You
6. I Want To Hold Your Hand (Mono Single Version)
7. This Boy (Mono Single Version)
8. Komm, Gib Mir Deine Hand
9. Sie Liebt Dich
10. Long Tall Sally
11. I Call Your Name
12. Slow Down
13. Matchbox
14. I Feel Fine (UK Mono Single Version)
15. She's a Woman (UK Mono Single Version)
16. Bad Boy
17. Yes It Is (Mono Single Version)
18. I'm Down (Mono Single Version)

[Disc 2]
1. Day Tripper (Mono Single Version)
2. We Can Work It Out (Mono Single Version)
3. Paperback Writer (Mono Single Version)
4. Rain (Mono Single Version)
5. Lady Madonna (Mono Single Version)
6. The Inner Light (Mono Single Version)
7. Hey Jude (Mono Single Version)
8. Revolution (Mono Single Version)
9. Only A Northern Song
10. All Together Now
11. Hey Bulldog
12. It's All Too Much
13. Get Back (Mono Single Version)
14. Don't Let Me Down (Mono Single Version)
15. Across The Universe
16. You Know My Name (Look Up The Number)

 ボックス発売に際し、『Past Masters』の代用的な2枚組CD『Mono Masters』が新たに組まれました。「Only A Northern Song」「All Together Now」「Hey Bulldog」「It's All Too Much」「Across The Universe」は今回初登場のOriginal Mono Mixで収録。収録曲のミックス/ヴァージョン違いに関してはオリジナル・アルバムの項目で触れていますので、興味のある方はこちらをご覧ください。

(その他)

🔵 この記事を作成してから数年が経ち、"ビートルズ リマスター"等のワードでアクセスされる方も多く、とても有り難く感じる反面、訪問者が具体的に何を知りたいかよく判らない部分も正直ありまして…。単純に周囲の反応を伺っているのか(大きな不満は無く楽しめました)、もの凄〜く神経質レベルで音質の差を知りたいのか(関連書籍で特集が組まれているのと、再生機器によって答えは何通りもあると思いますが…)、旧盤CDと比較してどうとかなのか…。

後者だと「曲が聴きたいだけなら旧盤でもいいと思います。」「旧盤CDはマスタリング、アートワーク共に万全とは言えなかったので、(それでしか聴けないもの以外は)旧盤を聴く事はないと思います。」という返答になります。あと…個人的には大好きで重要な位置付けの音楽であっても"郷愁の対象"では決してないので、「昔と同じ質感を求める」場合だと、聴いても僕とは違う反応をするかと…。

 疑問はなるべく解決に導きたい気持ちはあるものの(度を超した要求やご自身で確認した方がいいものを除く)、もしここで解決しない場合は、申し訳ありませんがさらに検索をしていただけると…。

🔵「モノラルとステレオ、どちらがいいですか?」という声もよく耳にします。製作者側の意思を尊重すれば、答えはMonoになります。ただ現在となっては、正解はあってないようなものと思っていただけると。もし誰かが「Mono盤が最高だ」と断言したところで、あなたの耳に合うかどうかは別問題。

「I Want To Hold Your Hand」「I'm Down」はStereoだと音がバラけているけど、Monoだと音が一丸で迫ってくる魅力があるとか、1967年以降の装飾感溢れる曲だとStereoの方がいいかな…って、案の定好みの話になる。

 はじめはオリジナル・アルバムのステレオ盤から接して、もっと追求したくなったら今度はMono盤を聴いてみよう…とか、両方揃えて、その時の気分でどちらかを選んで聴く…と、選択肢や接し方がいくつもあってもいいのではないでしょうか。Mono盤・Stereo盤それぞれ長所も短所もありますので。

🔵かつてCDから聴き始めた場合 : 80年代以降にCDからビートルズの音楽に接した方は、今回初期4作品がステレオで出た事によって新たな楽しみが出てくると思います。サウンド以外にも、10代→20代→30代に聴いた時とは歌詞の受け止め方が違ったりとか。そういう新たな発見はふとした瞬間にやってくる…その気になれば一生付き合えるのがビートルズ(笑)

⚪️ 海外の投稿でよく見かける"Unboxing"のモノラル・ボックス編。

⚪️こちらは例の…。これ以外にも複数の動画がupされています。
[3:関連書籍]
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◎「デジタル時代のビートルズ リマスターCD発売までの道のり」と題して、1987年の初CD化から2009年までのCD化とマスタリングの過程を細かく追った記事や、2009年リマスターを担当したエンジニアのインタビュー等が掲載されています。

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◎こちらもリマスター盤の特集記事。CDメーカーの都合上で試聴会での報告になっているのが惜しいものの、リマスター担当エンジニアがリマスター作業について語っているインタビューが掲載されています。

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◎こちらもリマスター盤の(beatleg誌ならではな視点の)検証記事が掲載されています。


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◎『大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 新時代の響き』でもリマスター盤の細やかな解析結果が掲載されています。パソコンで検証しないとほぼ誰も気付かない指摘も書かれていますので、興味のある方は是非一読を。
[4:あとがき & 余計な余談]

 ・・・ということで、長い割にはコアなレベルの方にとっては何一つ得るものがないという恒例のパターンでお送り致しました(汗)。何か理由がなければわざわざこういうものを作ろうとは思わないですよね…。もし何かしら参考になりましたら幸いです。最後まで読んでいただいた方に感謝。どうもありがとうございました。
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(作成:2009年9月13日/更新:2012年8月14日,2013年8月9日,12月29日,2014年1月14日,2月24日,4月21日,2015年8月14日,11月23日,2016年5月11日)
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[ 2009/09/13 00:59 ] The Beatles関連 | TB(-) | CM(0)

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