The Beatles : Please Please Me (1963)

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(Side 1)
1. I Saw Her Standing There
2. Misery
3. Anna (Go to Him)
4. Chains
5. Boys
6. Ask Me Why
7. Please Please Me
(Side 2)
8. Love Me Do
9. P.S. I Love You
10. Baby It's You
11. Do You Want to Know a Secret
12. A Taste Of Honey
13. There's A Place
14. Twist And Shout
[はじめに]

◎最早説明不要、かと思えば見過ごしや知ってるつもりも多いのがビートルズ。4〜50年以上前のバンドにもかかわらず、いまだに新たな話題やリリースが継続しているという…。ひょっとしたら最も容易く触れられ最も伝えるのが難しい対象かもしれませんね…色々リサーチしていると強く実感させられます。

 また、雑誌の特集記事や専門書籍(資料)も多数存在し、ネット上でビートルズについて書かれている方も非常に多いので、わざわざ書く必要もないと言ったらそれまでなんですが(笑)、ここではあえて全アルバムや楽曲、活動の流れ等を中心にご紹介していきます。なのでコアレベルの方には何一つ得るものがない or ご要望に添えない場合がありますが(冷汗)、何かしらの参考になられたら幸いです。また、お気づきの点や追加情報等ありましたらコメント欄 or メールで募集しております。それではスタート。
[結成〜アルバム発売まで]

◎The Beatlesはイギリス・リヴァプール出身の4人組グループ。1962年10月5日にシングル「Love Me Do」でデビュー。メンバーはJohn Lennon (g,vo)、Paul McCartney (b,vo)、George Harrison (g,vo)、Ringo Starr (d,vo)…と基本情報を書いたところで、ここからはグループ結成からファースト・アルバムが出るまでを追って行きます。なおより詳しく知りたい方は関連書籍の他に『Anthology』シリーズのCDとDVD、映画『Back Beat』、DVD『ビートルズ誕生秘話 ピート・ベスト・ストーリー』等をご参照ください。

(1957年)
●ジョン、ビートルズの母体となるバンドThe Quarry Menを結成。
●7月6日、教会で開催されたイベントにThe Quarry Menが出演。演奏後、共通の友人を介してジョンとポールが初対面。
●10月18日、ポールがThe Quarry Menのメンバーとして初のステージに立つ。
(1958年)
●2月6日、ジョージ・ハリスン、ポールの紹介でThe Quarry Menに加入。
●7月 地元のスタジオで初レコーディングを行ない、自主制作盤を作る。この時録音された「That'll Be The Day」「In Spite Of All The Danger」の2曲は後に『Anthology 1』(1995年)に収録。
(1959年)
●この時期、バンド名をJohnny and The MoondogsやThe Silver Beatles等に変更。出演したイベントによって名前を替えていたようです。
(1960年)
●1月 ジョンの友人、スチュアート・サトクリフ(b)が加入。
●8月 ピート・ベスト(d)が加入し、バンド名をThe Beatlesに変更。最初のドイツ巡業を行なう。同時期に対バンとして出演していたリンゴ・スターと出会う。
(1961年)
●2度目のハンブルク巡業の途中、画家に転身するためスチュアート・サトクリフが脱退。ポールがベースにシフト。
●6月 当時交流のあったTony Sheridanのバック・バンドとして初の正式レコーディング。シングル発売された「My Bonnie」のほか、ビートルズ単独で「Ain't She Sweet」「Cry For A Shadow」を録音。
●12月 当時レコード店を経営していたブライアン・エプスタインがビートルズに興味を示し、マネージャーになる事を申請(翌1962年1月に就任)。
(1962年)
●1月1日 当時の大手レコード会社の一つだったデッカ・レコードのオーディションを受けるが結果は不合格。その後イギリス国内のレーベルからも尽く断られる。
●3月7日 初のラジオ出演。「Please Mr. Postman」等を演奏。
●4月10日 スチュアート・サトクリフが脳出血のため他界。
●6月6日 ブライアン・エプスタイン、ジョージ・マーティンとの交渉により(当時)EMIの傘下レーベル、パーロフォンとの契約に成功。この日初のレコーディングを行なうがお蔵入り(「Besame Mucho」「Love Me Do」は後に『Anthology 1』に収録)。さらにスタジオのスタッフから演奏面の難を指摘され、これが後にドラマー交代劇に発展する。
●8月15日 ピート・ベストが解雇される(脱退後、1967年頃まで別のバンドで活動)。
●8月18日 リンゴ・スターが加入し、ここでお馴染みのメンバーが揃う。
●8月23日 ジョン・レノン、最初の結婚。
●10月5日 シングル「Love Me Do」でレコード・デビュー。
●その後テレビやラジオの出演、イギリス各地でツアーを行なう。リスペクトしていたLittle Richardとの共演も実現、その時のバンド・メンバーだったBilly Prestonと知り合う。
●12月下旬、最後のハンブルク巡業を行なう(Star Club出演時の音源が後の1977年に発売)。
(1963年)
●1月11日 セカンド・シングル「Please Please Me」が発表され大ヒット。イギリスでの人気に火がつく。
●2月11日 ファースト・アルバムのレコーディングが1日通して行なわれる。
●3月13日 シングル「From Me To You」用のレコーディング。
●3月22日 ファースト・アルバム『Please Please Me』がイギリスで発売(モノラル盤。ステレオ盤は4月26日発売)。30週連続No.1ヒットを記録。

 こうして改めて流れを追うと、「Please Please Me」がヒットするまでは色々ありまくりですね…。さらに時代背景に目を向けると、ビートルズ以前(1950年代)にはアメリカでロックン・ロールの登場があり、これに刺激されて楽器を手にした少年達が後々ロック・ミュージシャンとして活躍するわけなんですけど、そんな中でビートルズが本格始動した1960年にはロックン・ロールのブームは過ぎ去った後でした。理由は主要歌手の徴兵や別分野への転身、事故死等…。替わって軽快なリズムのポップスが流行するようになり、名曲も数多く生まれましたが、見方によってはぬるい時代だったかも(それとは別にJazzの名盤が多数生まれたのもこの時代。それはそれという事で)。ただ、ロックン・ロールが絶滅したわけではなく、そのスピリットはヨーロッパ圏のバンドに(一時的に)受け継がれたと言っていいでしょうね。

 ビートルズが1960年にドイツのクラブで夜な夜な演奏していた時代の音源は残念ながら存在しないようで、残された写真や関係者の証言からしか伺い知れませんが、ちょっとここでYouTubeから1961年、Tony Sheridanのバック・バンドとしてドイツで正式に録音された「My Bonnie」と、ジョンが歌う「Ain't She Sweet」を貼っておきます。


 動画に出てくる写真を見ての通り、メンバーも若干異なるメンツで、ルックスも全然違う。底辺から這い上がってきた人達の典型的な過去とも言えそうですけど、少なくとも最初からあのヘアスタイルや襟なしスーツ姿でもない(↑では少しずつ変化する時代の写真も混ざっている)。目の前にいる客も初めからキャーキャー叫ぶ女の子だったわけではなく、気性の荒い酔っぱらい連中を相手に何時間も演奏する毎日。好きな曲だけをやるには限界があり、さらに客の要求に対応すべくラジオを聴きシングルを漁りカップリング曲まで聴き倒してレパートリーを増やし、時にロック以外のスタンダード曲も覚えたり…いわば武者修行の時代(それを裏付けるかのように、後のBBCセッションや1969年1月のリハではカヴァー曲が大量に演奏されている)。当然、シングル盤のクレジットにも目を通していたでしょう。この人は自分で曲を書いているとか、作曲家チームがいるとか気付いたり…。そんな中で客の一人だったクラウス・フォアマン(当時は主にデザイナー)やアストリッド・キルヒヘル(写真家)との出会いがあり、ビートルズも(主に外見から)少しずつ変化して行くわけなんですけど、後々ああなって行ったのはやはりこの時代(1960〜1962年)の経験が大きかったのではないでしょうか。

 ドイツ巡業で力を付けたビートルズは地元・リバプールに戻るとさらに人気は拡大し、噂を聞きつけたブライアン・エプスタインがマネージャーに就任。彼がラジオ出演交渉やレコード契約に奔走した結果、ジョージ・マーティンとの出会いがきっかけでパーロフォン・レコードとの契約に成功。一見トントン拍子に物事が進んでいるかに見えますが、この時点でビートルズは地元以外ではほぼ無名な存在で、契約を断ったレコード会社は「ロックン・ロール・バンドは古い」と決めつけていた、または看板スター的存在が誰だか判らないバンドは前例がなかった。さらに(当時の男性としては)観た事のないヘアスタイルも奇妙に映った。やっと掴んだレコード契約も実はメイン部門ではなく、悪く言うと窓際的なレーベルだった。ジョージ・マーティンにしても疑心暗鬼気味で、初のレコーディングも途中まで別のスタッフに任せていた程。ビートルズのオリジナル曲の可能性もこの時点では未知数…と、こうして並べてみるとマイナス要素だらけで。過半数の人達は既存の成功例や敷かれたレールに沿う事を選び(時に開拓者よりいい思いをしたりする)、ワイルド・サイドを歩くような道は選ばない。しかしこの後これらのマイナス要素が全部逆転するわけで…人生何が起こるか判らない。
[ビートルズ登場以前のイギリスのアーティスト]

 これも念のため。ビートルズ登場以前、イギリスにもロック系の歌手やバンドは存在しました。といってもアメリカの影響下の域を出ていない人達が多いのも事実で(これは当時の日本でも同様)、その中でも記憶の隅に留めておきたいのがこの3組。

●はじめは何と言ってもこの人。現在でもイギリスでは絶大な人気を誇るCliff Richardと、バックバンドのThe Shadows。ロックン・ロールの「Move It」(UK2位/1958年)やポップな「The Young Ones」(UK1位/1962年)「Summer Holiday」(UK1位/1963年)等がヒット。The Shadowsも「Apache」(UK1位/1960年)等ギター・インストもののヒットを連発。

●続いてはVince Taylor。一般的には後にThe Clashがカヴァーした「Brand New Cadillac」のオリジナルを歌っていた人物として知られています。
 
●最後はJohnny Kidd & The Pirates。海賊スタイルのルックスで「Please Don't Touch」、後にThe Whoがカヴァーした「Shakin' All Over」等がヒット。1966年にリーダーのJohnny Kiddが事故死したため解散しましたが、70年代後半にMick Green(g)を中心にThe Piratesを再編。日本ではTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを通じて知った方も多いようです。

 ここで取り上げた3組に共通するのは、リード・ヴォーカリスト+バック・バンドという形態を取っている点。誰か一人看板的存在(主役)がいて、あとは伴奏(脇役)という…。対照的にビートルズはメンバーそれぞれが演奏しながらヴォーカルも取るスタイルは、当時としては前例が無く新鮮に映ったのではないでしょうか。
[アルバム"Please Please Me"]

 おぉ、ようやくアルバムの話に辿り着いた(汗…といってもこれでもかなり省略している)。アルバムはレノン/マッカートニーの自作が8曲とカヴァー7曲という構成。60年代のロック/ポップス系アルバムは(半ばメーカー側の言いなりによって)ヒット・シングル以外は埋草的な内容が主流だった中、バンドの意思が強く反映された数少ない例とも言えそう(他に思い当たるのは同時期に登場したThe Beach Boysくらい)。先に発表されたシングル曲「Love Me Do」「P.S. I Love You」「Please Please Me」「Ask Me Why」以外の曲は1963年2月11日、丸一日をかけてほぼぶっ通しで録音が行われ、ジョンが風邪をひいて喉の調子が万全ではない中、ライヴでのフィーリングを捉えるべく演奏は基本一発録音、オーヴァー・ダビング(ピアノ、チェレスタ、手拍子、一部バック・コーラス、ポールの追加ヴォーカル等)は最小限に留められています。

 正直なところ、1曲目の「I Saw Her Standing There」で掴みはOKでしょう(笑)。あとはもう、最初のカウントから最後の安堵のため息まで、何も考えずに聴いてしまう…個人的にはこのアルバムに出会って30年以上ずっとそうしているので、そうとしか言えないというか(笑)

ただ、ビートルズの公式発表213曲(当時)を揃えながら集中的に聴くうちに"ある事"に気付き、以降は付かず離れずな聴き方をするようになって。自分にとって最も重要なグループに変わりはないのですが…。これは1987年のCD化以前に感じた事で、90年代後半以降はまた別の意味でハードルがが高くなった印象が…と、その手の話はひとまず置いといて、収録曲についていくつか触れて行きます。

 カヴァー曲では本来のルーツよりもその当時流行っていたアメリカのポップス、しかもガール・グループものが3曲も取り上げられているのも本作の特徴の一つ。リンゴが歌う「Boys」は歌詞の解釈で色々言われているようです(謎&笑)。他にもGerry GoffinとCarole King、Burt Bacharach/Hal David等の作曲家チームの作品を取り上げていたり。「A Taste Of Honey」はポールの趣味が反映されたミュージカル・ソング。後の1966年にHerb Alpert & the Tijuana Brassがアップ・テンポにアレンジし、The Holliesもそれに準じたカヴァーを発表しています。白眉は何と言ってもジョンの全身全霊のヴォーカルが聴ける「Twist And Shout」。ビートルズはThe Isley Brothers経由でカヴァーし(たしか1964年ワシントンDCのライヴでもポールがそのようなMCを言っていた)、以降はビートルズ版に準じたカヴァーが大量に発生する事に。そう、カヴァーと言っても完全にビートルズ色に染められているので、どの曲も一般的には"ビートルズ・ナンバー"として浸透している可能性は高いでしょう。

 オリジナルでは1曲目は先に書いた通りで(笑)。イギリスでの成功のきっかけを掴んだ「Please Please Me」、洗練されたコーラス・ワークが聴ける「Ask Me Why」、ラテン調の「P.S. I Love You」「Misery」「There's A Place」も勿論いいけど、いつも思うのは何故デビュー曲が「Love Me Do」だったのかと。誰が言ったのか、たしかにパッとしないしキャッチーな曲でもなく。もっとアップ・テンポの曲は既に何曲かあったにも拘らず。それでもつい引き寄せられてしまうのはブルージーな曲調やハーモニカがもたらすものなのか。何かが起こる前触れとしてはこれ程ふさわしい曲はないかもしれませんね。何だかんだ言ってもつい聴いてしまいます(笑)

[余談1:日本盤LP(EAS-80550)の謎]

 日本でアルバム『Please Please Me』がイギリス盤とほぼ同じ内容で発売されたのは、意外にも解散から大分経った1976年でした。それ以前、1966年5月に来日記念盤として発売された『ステレオ! これがビートルズ Vol.1』は収録曲のみ同じで、ジャケットも曲順も全く異なるものでした。ところが1976年日本盤LPもイギリス盤とは別物だった…のに気付いたのは聴き始めてから何年も経ってから(全部集めているような方はとっくに気付いていた事でしょう…)。レーベルがパーロフォンでなくアップルになっている以外に、次の2曲のミックスが異なります。

「Misery」「There's A Place」
●イギリス・ステレオ盤=Stereo Mix
●日本盤LP(EAS-80550)=疑似ステレオ

 違うのはこの2曲だけかと思っていたら、実はそれだけではなかった…。1987年に初CD化された際、音源がステレオ盤から(当時はレアだった)モノラル盤に変更され、それはそれとして喜んでいたのですが、いざ聴いてみたら「あれっ、何か変だなぁ…」と違和感が。モノとステレオの違いや、CDよりLPが良いとかその手の話ではなく、何だか知らないけど「曲が遅い」なぁ…と。

 改めて両者を聴き比べてみると実際は逆で、CDが遅いんじゃなくて日本盤LP(EAS-80550)の方が「速くなっていた」のでした。具体的にはA面3曲目以降、B面は「There's A Place」以外全曲が半音上がった状態。あー、違和感ってこれだったのか…。これを「初期のビートルズってとても若々しいですね!」とか言ってごまかす事も出来るけど、そうじゃないでしょこれ…(苦笑)。70年代後半〜昭和末期まで街のレコード屋さんにフツーに売られていたLPなので、こういうのを知ると微妙な気分になりますね…(苦笑)

●YouTubeより:参考資料ってことで、1976年日本盤LPのA面の動画(本来このようなものがupされてる事自体問題ありですが…(笑))。ちなみにこれと別に日本盤LPをupしたものも検索で出てきましたが、何故か音は別物でした。もし先に指摘した「速くなっていた」がよく判らない場合は、『Please Please Me』のCDとこの動画の「Anna」から同時再生してみてください。1976年盤はどんどん先に行ってしまいます…(笑)

 それにしても何でこんな状態になってるのだろうか…。考え得るのは1966年に『ステレオ! これがビートルズ Vol.1』を出す際に、イギリスからアルバムのマスターを取り寄せずに、既に日本側の手元にあるテープをかき集めて繋ぎ合わせた、その際に何かしらが原因でテープ・スピードが変わってしまった…と。あくまで"説"なので何か言われても仕方がないんですけど…(汗)。例えばこんな感じで音を持ってきたと。

●ソース1 : アメリカ盤『Meet The Beatles!』(1964年)
・I Saw Her Standing There

●ソース2 : アメリカ盤『The Early Beatles』(1965年)
・Love Me Do
・Twist And Shout
・Anna (Go to Him)
・Chains
・Boys
・Ask Me Why
・Please Please Me
・P.S. I Love You
・Baby It's You
・A Taste Of Honey
・Do You Want to Know a Secret

この2枚からテープ編集で曲順を並べ替えて…となると、2曲足りない。そこで、

●ソース3 : 日本編集盤『ビートルズ No.2!』(1964年)
・Misery
・There's A Place

の2曲を追加。ただしモノラルなので、これを疑似ステレオ化して組み合わせた。でなければこのような音の状態にならないわけで。ただ、回転数が速くなっているのは謎ですね…。アナログ機器の性能上、テープをダビングする過程で回転数が微妙に変わってしまった、もしくは編集担当者が故意に回転数を上げたか…。いずれにしても既に40年弱の年月が経ち、現在はリマスター音源に切り替わった今となっては「この盤はこういう状態になっています」「これから聴く場合はこの盤は避けた方がいい」程度に留めておくのが無難だと思います。ここでこうして取り上げたのも自分と同じような違和感を覚えた方や、これから聴く方へのちょっとした参考資料という事で、この話題はこの辺でお開き。
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●CD化以前に約10年程流通していた日本盤LP初期2作には、このようなブックレットが付いていました。カラー写真が数点と解説・歌詞・対訳付。
[余談2 : CDについて]

 『Please Please Me』のCDは大まかに分けて1987年旧盤(モノラル)と、2009年リマスター(ステレオ、モノラル)の計3種類があり、これに輸入盤と日本盤、帯のデザインや価格設定等細かい違いが加わります。特にネットのオンライン・ショップで探そうとすると、同じアルバムなのに何種類も出てきてワケが分からないですよね…しかもカスタマー・レビューも仕様関係なくごちゃ混ぜになっていてさらなる混乱が。そういった事もあり、ここでは厳選して日本盤CDのみをご紹介します。

(1 : 1987年旧盤CD/モノラル)

プリーズ・プリーズ・ミープリーズ・プリーズ・ミー
(1987/02/27)
ザ・ビートルズ

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(主な特徴)
🔵 1987年マスタリング音源。
🔵 モノラル・ミックスを採用。
🔵 パッケージは通常のプラ・ケース(旧盤だと判別しやすい点の一つ)。
🔵 日本盤CDは歌詞・対訳・解説書付き。
🔵 日本盤CDは発売時期によって価格設定や帯のデザインが異なる(古い順に赤→黒→白)。
(主な短所)
🔵 初CD化当時のマスタリング技術が発展途上段階だったため、ヒス・ノイズ対策としてイントロが微妙に削られている & フェイド・アウトが若干早めになっている。といっても注意深く聴かないと判らないレベルなので、フツーに聴く分には殆ど問題はないです。
🔵 裏ジャケットのデザインが再現されていない(旧盤CDほぼ全てのオリジナル・アルバムに共通)。

YouTubeより: 従来盤CDいろいろ。ただ映しているだけで細かい違いまでは判りにくいですが、画面右下が日本盤CD。

(2 : 2009年リマスター盤/モノラル)
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◎2009年のリマスター化に伴い、モノラル盤はボックス・セット『Beatles In Mono (Mono Box)』の一部として復刻されています。こちらは2009年リマスター、紙ジャケット仕様。

(3 : 2009年リマスター盤/ステレオ)

プリーズ・プリーズ・ミープリーズ・プリーズ・ミー
(2013/11/06)
ザ・ビートルズ商品詳細を見る

◎2009年9月9日に発売されたリマスター盤で、現在これがレギューラー盤となっています。上記リンク以外にも価格や帯のデザイン、社名等が微妙に異なるものがありますが、全て2009年リマスター音源を使用。さらに1987年旧盤CDとは異なり、ステレオ盤に変更されています。その他主な特徴は以下の通り。

🔵 2009年リマスター音源。
🔵 ステレオ・ミックスを採用(ただし「Love Me Do」「P.S. I Love You」はモノラルに差替え)。
🔵 パッケージは紙製3面開きの"デジ・スリーブ"仕様(註:俗にいう"紙ジャケ"とは似て非なる別物)。これが2009年リマスター盤の外見上の特徴なので、プラスチック・ケースのものは旧盤CDと思っていただけると。
🔵 英文解説、写真等を掲載したブックレット付き。
🔵 パソコンにセットするとショート・ドキュメンタリー映像が観られるエンハンスドCD仕様(パッケージ裏の曲目の下に"PLEASE PLEASE ME MINI-DOCUMENTARY""enhanced CD""QuickTime"の表記あり)。

YouTubeより:2009年リマスター盤のパッケージ(デジ・スリーブ)の中身を映している動画。

こちらも参考映像。3分19秒付近から各CDの形態の違いが確認出来ます。ちなみにYouTubeで"Beatles Unboxing"等のワードで検索をすると、このような開封シーンをいくつか見かけますので興味のある方は是非。

(4 : 2014年SHM-CD/ステレオ)

プリーズ・プリーズ・ミー(紙ジャケット仕様)プリーズ・プリーズ・ミー(紙ジャケット仕様)
(2014/12/17)
ザ・ビートルズ商品詳細を見る

◎2014年12月、世界初・日本独自企画による"ステレオ盤SHM-CD紙ジャケット"が発売。ステレオ盤での紙ジャケ化は初。帯は…表側は60年代前半の東芝半掛け帯風の新たなデザイン(なんだそりゃ)、裏側は…長帯って言うかは知りませんが、裏ジャケットを覆うような形になっており、その間にブックレットや日本語解説書等が入れられています。それ以外の特徴は以下の通り。

🔵 2009年リマスター音源。
🔵 ステレオ・ミックスを採用(ただし「Love Me Do」「P.S. I Love You」はモノラル)。
🔵 盤はSHM-CDを採用。
🔵 パッケージはLPジャケットをミニチュア復刻化した紙ジャケット仕様。
🔵 英文解説、写真等を掲載したブックレット付き(2009年リマスター盤と同一)。
🔵 歌詞・対訳・解説書付き(2009年リマスター盤と同一)。
🔵 2009年版にあったミニ・ドキュメンタリー映像はなし。
🔴 追記:こちらで知った話題より。日本盤を中古で購入予定の方は念のため盤の確認を。既に所有している方もたまに…と念のため書いておきます。
[余談3 : ヴァージョン/テイク違いについて(簡易版)]

 このアルバム収録曲のヴァージョン/テイク違いを個人的に把握している範囲内でまとめてみました。普段慣れ親しんでいる曲にも実はこんなにも違いがあった…のをただ羅列しただけのもので、もし単純に聴いて楽しみたいだけ、これから初めて聴く方は知らなくても特に問題はないです。

また、ヴァージョン表記についてはオフィシャルで付けられたものは殆どなく、筆者によっても呼び方が異なる場合がありますのでご注意ください。ここでは大まかにこんな感じで振り分けてみました。

🔵 別テイク(Alternate Take) :

 演奏自体が違うもの。

🔵 別ヴァージョン(Alternate Version) :

 演奏自体は同じで、微妙に違う点があるもの。フェイド・アウトの長さが極端に違うものや特定の音の有無等。ここでは別ミックスと表記している場合が多く、初出がアメリカ版の場合は"US"、イギリス版の場合は"UK"と表記したものもあります。

🔵 疑似ステレオ(またはDuophonic Mix) :

 モノラル録音を"ステレオ風"に聞こえるように加工したもの。呼び名も色々あり、"疑似ステレオ"以外に"Duophonic"(主に米Capitol Records)、"Stereo Transcription"(主に60年代ストーンズ)、"Enhanced Stereo"(主にThe Move)、"Electronically Processed Stereo"(主にSmall Faces)等、メーカーによっても異なる。ビートルズの日本盤LPでは「※印は最新の技術によりモノーラル録音をステレオ化したものです。」とだけ書かれている事も。

 種類も複数で、左右の音質を変えたもの(例:右=高音/左=低音)、音に膨らみがあり回っているように聞こえるもの、左右の音が微妙にズレているもの、エコーやリバーブをかけたもの等。しかし音像が不自然、原音の良さを損ねる等の難点があるため、ビートルズのリマスター盤からはほぼ排除されています。

 また、右=歌/左=演奏の2-Track音源を"疑似ステレオ"と称する事がありますが(ステレオを前提として録音したものではないので間違いではありませんが)、読み手を混乱させる恐れがあるため、そうした意味での使用を避けてある事をあらかじめご了承ください。

🔵 Remix :

 レコーディング・スタジオの用語とは別の意味で、ここでは既発曲を新たにミックスし直したものを"Remix"と表記してあります。主に80年代デジタル化以降〜現在までに作成されたものが対象(主な例:『Help!』『Rubber Soul』『Yellow Submarine Songtrack』等のCD、『Anthology』シリーズのDVD等に含まれている音源)。

 アルバム『Please Please Me』の場合はオリジナルがMono Mix、次にStereo Mixの順で発表。Stereo Mixはヴォーカルと演奏が左右に分かれています。これは当時の再生機器がモノラル主流で「モノラルが完成品」を前提に、最終ミックスの段階でバランス調整を安易にするための対処法でした。Stereo Mixは二の次扱いで、細かなバランス調整も難しいためこのような状態のまま発表されました。現在一般的に流通しているリマスターCD及びiTunes配信版はStereo盤が採用されています。

 一気に全部読むと相当しんどいので、何か気になった時に読んでいただけると幸いです。もしそれでも問題が解決しない、またはもっと細かく、深ぁ〜く徹底的に追及したい方は、さらにコアなサイトを求めて検索をするか、下記の書籍等をご参照ください。

ザ・ビートルズ全曲バイブル  公式録音全213曲完全ガイドザ・ビートルズ全曲バイブル 公式録音全213曲完全ガイド
(2009/12/03)
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大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 新時代の響き (日経BPムック)大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 新時代の響き (日経BPムック)
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日経エンタテインメント!

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●2011年8月6日発売の『大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 新時代の響き』でもリマスター盤の細やかな解析結果が掲載されています。どの曲でどのような修正がされたのか、パソコンで検証しないとほぼ誰も気付かないであろう指摘も書かれていますので、興味のある方は是非一読を。

I Saw Her Standing There

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Capitol Albums Vol.1』(2004年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『Meet The Beatles!』(2014年)

2 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックスは左=演奏+手拍子、右=ヴォーカル+ジョンのリズム・ギターに音が分かれています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.1』(2004年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『Meet The Beatles!』(2014年)

3 : U.S. Mono Mix (カウント削除版)
4 : U.S. Stereo Mix (カウント削除版)

 アメリカのレーベルVee-Jayから発売されていたものは(モノ・ステレオ共に)イントロのカウントから「1,2,3...」がカットされた状態で収録されていました。未CD化…といってもただそれだけの違いです。
(収録LP)
◉『Introducing... The Beatles』(米Vee-Jay/1963年)
(YouTubeより)

●米盤LP『Introducing... The Beatles』収録の「I Saw Her Standing There」。聴いての通り、イントロがこんなんなってます。

5 : Alternate Take (Take 9)

 1996年になって発掘された別テイク(Take 9)で、右=ヴォーカル/左=演奏のステレオ・ミックス。これはちょっとした種明かし的な音源で、よく聴くとカウント部分はアルバム『Please Please Me』で慣れ親しんでいるものと同じ。これを聴くとTake 9からカウントを、それ以外の演奏はTake 1を繋げ合わせ、さらに手拍子をオーヴァー・ダビングしたものがリリース版だった事が判ります(聴いて納得するものなので書かない方が良かったか…(笑))。この別テイクはCDシングル『Free As A Bird』のカップリングとして収録されています。
(収録CD)
『フリー・アズ・ア・バード』(1996年)

6 : Take 2

 2013年12月にiTunes Storeでリリースされた別テイク(Take 2)。所々歌詞をとちったりベースの音が途切れたり…と、ミスも散見する。
(収録アルバム)
『The Beatles Bootleg Recordings 1963』(2013年/配信版のみ)

Misery

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックスでは一番最後に「カシャーン!」という音が入っている。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)

2 : Stereo Mix

 Stereo Mixは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。ちなみにアメリカではかつてレア音源扱いされていた事があり、編集盤『Rarities』(LP=Capitol SHAL-12060/1980年)にも収録されていました。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)

3 : Duophonic Mix (疑似ステレオ)

 1966~80年代半ばまで流通していた日本盤LPに疑似ステレオ版が収録されていたものがありました。音が回っているような印象があり、なんとなく右が低音/左が高音に分かれているように聞こえる。未CD化。
(主な収録LP)
◉『Please Please Me』(LP=東芝EMI EAS-80550)

4 : Take 1
5 : Take 7

 2つ共に2013年12月に突如iTunes Storeから配信リリースされたスタジオ・アウト・テイク。リリース版ではジョージ・マーティンによるピアノがダビングされていましたが、これらは前段階のため入っていない。他に違いが判りやすいのはフェイド・アウト間際のジョンのヴォーカル。
(収録アルバム)
『The Beatles Bootleg Recordings 1963』(2013年/配信版のみ)

Anna (Go to Him)

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた従来盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックスは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Box』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 ステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている(註:"Type B Mono Mix"は『The U.S. Box』のブックレットに記載された表記)。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

Chains

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた従来盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックスは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 ステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

Boys

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた従来盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックス。他の曲とは異なり、右=ヴォーカルとドラム/左=ギターとベースに振り分けられている。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 ステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

Ask Me Why

1 : Mono Single Version

 意外と見過ごされている音源。オリジナル・シングルに収録されているもので、ヴォーカルにかかるリバーブが薄く、ジョンの声が生々しい。2016年現在未CD化。

⚪️ YouTubeより : 2分5秒付近から「Ask Me Why」のSingle Versionが聴けます。

2 : Mono Mix

 一般的に流通しているモノラル・ミックス。こちらは1と比べてヴォーカルにかかるリバーブは深め。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)

3 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックス。右=ヴォーカル/左=演奏に分けられている。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

4 : Type B Mono Mix

 ステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

Please Please Me

⚪️大まかにはモノ、ステレオ、別テイクの3種類が存在します。

1 : Mono Version

 モノラルとステレオ共にテイクが異なり、両者で共通する箇所はジョンのハーモニカを入れた編集パートのみ。このMono Mixの何がどう違うかは正直説明しにくいものがありますが(汗)、強いて挙げると…。

🔵 1分8秒付近のポールとジョージの「in my heart〜っ♪」が前面に出ている。
🔵 1分27〜32秒で歌詞の間違いを起こしていない。
🔵 エンディング直前で音のズレがない…等。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles 1962-1966 (赤盤)』(1993年/2010年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Version

 右=ヴォーカル/左=演奏に分けられているステレオ・ヴァージョンは、Mono Versionとは別テイク。書籍『ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版』によると、Stereo MixはTake 16,17,18の3つのテイクとジョンのハーモニカのパートをテープで切り貼りして編集したもの(Mono版のテイク数は不明)。シングル用に採用されたテイクの素材が既に処分されてこのような違いが出たのか、編集作業の過程で取り違えたかは不明。Monoとの違いを気づいたところだけ挙げてみると…。

🔵 1分8秒付近のポールとジョージの「in my heart〜っ♪」は使用されたテイクが異なるため、Monoのように全面に出ている印象はない。
🔵 1分27秒付近では本来「I know you never...」と歌うはずが、ジョンが「Why do I...」と2番の歌詞を歌ってしまっている。
🔵 エンディング間際(1分44秒〜1分51秒)でハーモニカが挿入される部分で音のズレが生じている。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 2のステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。ちなみに解散後にレコード会社が製作したプロモーション・ビデオ(1964年のワシントンDCのライヴ映像を中心に使用)も同様にStereo MixをMonoに変換されたものが使用されています。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

4 : Alternate Take

 1962年9月11日(セッション・ドラマーとしてアンディ・ホワイトが参加した日)に録音された別テイクで、ハーモニカはなく、バック・コーラスがあまり入っていないのが特徴。

 この曲の伝説の一つとして「最初はスロー・テンポだった」というのがありますが(『Anthology』のDVDでもポールが証言している)、書籍『ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版』を読むと、セッションの後半でビートルズがスロー・テンポの「Please Please Me」を試していたところに(遅れてスタジオにやって来た)ジョージ・マーティンがそれを聴いてテンポを上げる事を提案。さらに「次のセッションでやってみよう。」「捨ててしまうには惜しい曲だ。保留にしておこう。」とも。そのスロー・テンポ版はリハの段階で演奏されたが本番では録音されなかったか、単にセッション・テープを保存する余裕がなく残っていないのでは…。で、これはその本の注釈(p.37)に書かれているものとは見解が異なりますが、このテイクもリリース版とはアレンジが所々違う点からすると、次のセッション(1962年11月26日)までにアレンジを練り上げるための参考用にアセテート盤に残したものなのでは…と、推測でものを書くべきではないのは承知しつつもあえて書いてみました。
(収録CD)
◉『Anthology 1』(1995年)

Love Me Do

⚪️主に3つのテイクが存在します(BBCセッションは除く)。3テイク共にドラムを叩いている人物が違うのが大きな特徴。

1 : Alternate Take (ピート・ベスト版)

 最初に録音されたテイクはEMIでの最初のレコーディング・セッションとなった1962年6月6日に録音されたもので、この時点でのドラムはピート・ベスト。ドラムが途中でリズム・パターンを変えるのがこのテイクの特徴。
ちなみにDVD『ビートルズ誕生秘話〜ピート・ベスト・ストーリー〜』(2006年)の中で、ピートや録音に立ち会ったスタッフがこの日のレコーディングのエピソードを語るシーンが登場します。
(収録CD)
◉『Anthology 1』(1995年)

2 : Original Single Version (リンゴ版)

 イギリスでのデビュー・シングルとして発表されたテイクで、EMIでの2度目のセッションが行なわれた1962年9月4日録音。1の録音後にメンバーの交代劇があり、このテイクでのドラムはリンゴが演奏しています。3のアンディ・ホワイト版で聴けるタンバリンがなく、このリンゴ版では間奏で手拍子が入っています。

 その後、アンディ・ホワイト版がレギュラー・ヴァージョンとされたため、リンゴ版のマスターは処分される羽目に。しばらくレア音源状態が続きましたが、1988年に『Past Masters Volume One』でCD化(アナログ盤から起こしたもの)され、以降は入手が安易になりました。
(収録CD)
◉『Past Masters Volume 1』(1988年)
◉『Past Masters』(2009年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)

3 : Album Version (アンディ・ホワイト版)/Mono

 アルバム『Please Please Me』をはじめ、一般的に流通しているテイクで、1962年9月11日録音。セッション・ドラマーとしてアンディ・ホワイトが演奏する事が決定していたため、リンゴは(内心ショックを受けつつも)タンバリンを演奏。ちなみにジョージ・マーティンはスケジュールの都合上録音には立ち会っておらず(録音後にスタジオに現れた)、ロン・リチャーズ(後のThe Holliesのプロデューサー)が現場の指揮を取っています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles 1962-1966 (赤盤)』(1993年/2010年)
◉『1』(2000年/2011年/2015年)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

4 : 疑似ステレオ/アンディ・ホワイト版

 「Love Me Do」はセッション素材が残されていなかったため、アナログ盤主流の時代(60〜80年代半ば)のステレオ盤LPには右=高音/左=低音に音質を調整した疑似ステレオ・ミックスが収録されていました。テイク自体は3と同一。現在はモノラル音源に統一されているため、逆に珍しい存在になっているような印象も。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

P.S. I Love You

1 : Mono Mix

 シングル及びアルバムに収録されているモノラル・ミックスで、元々ステレオ・ミックスは存在しません。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : 疑似ステレオ

 モノラル・ミックスを右=高音/左=低音に音質を調整した疑似ステレオ・ミックス。アナログ盤主流の時代はお馴染みでしたが、モノラルに統一された現在では逆に珍しい存在に。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

Baby It's You

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた従来盤CD)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックスは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 2のステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

Do You Want to Know a Secret

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた従来盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックスは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 2のステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

4 : Track 2, Take 7

 2013年12月に突如iTunes Storeでリリースされた別ヴァージョン。テイク自体はリリース版と同一ですが、オーヴァー・ダビングされたバック・ヴォーカルが1番から入っているほか、リリース版ではドラム・スティック音だった部分が手拍子になっている。
(収録アルバム)
『The Beatles Bootleg Recordings 1963』(2013年/配信版のみ)

A Taste Of Honey

1 : Mono Mix

 オリジナルのモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた従来盤CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Mix

 ステレオ・ミックスは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 2のステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

4 : Take 6

 2013年12月に突如iTunes Storeでリリースされた別ヴァージョン。テイク自体はリリース版と同一ですが、オーヴァー・ダビングされたヴォーカルが異なる。書籍『ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ』には「あるテイクをわずかにずらして別のテイクにコピーする」との記述がありますが、違いが判別しやすいのはエンディング間際で、バック・コーラスにハモリがない。
(収録アルバム)
『The Beatles Bootleg Recordings 1963』(2013年/配信版のみ)

There's A Place

1 : Mono Mix

 アルバムのモノラル盤に収録されていたモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧CD)
◉『Compact Disc EP. Collection』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)

2 : Stereo Mix

 Stereo Mixは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。ちなみにアメリカではかつてレア音源扱いされていた事があり、編集盤『Rarities』(LP=Capitol SHAL-12060/1980年)にも収録されていました。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)

3 : 疑似ステレオ

 1966~80年代半ばまで流通していた日本盤LPでは疑似ステレオで収録されていました。音が回っているような印象があり、なんとなく右=低音/左=高音に分かれているように聞こえる。未CD化。
(主な収録LP)
◉『Please Please Me』(LP=東芝EMI EAS-80550)

4 : Takes 5,6
5 : Take 8
6 : Take 9

 3種共に2013年12月に突如iTunes Storeから配信リリースされたスタジオ・アウト・テイク。リリース版(『Please Please Me』に収録されたもの)はTake 10にハーモニカがオーヴァー・ダビングされていましたが、これらには含まれていない。Take 5は失敗テイク、他は全て完奏。
(収録アルバム)
『The Beatles Bootleg Recordings 1963』(2013年/配信版のみ)

Twist And Shout

1 : Mono Mix

 アルバムのモノラル盤に収録されていたモノラル・ミックス。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(1987〜2009年まで流通していた旧CD)
◉John Lennon『Imagine(オリジナル・サウンドトラック)』(1988年)
◉『コンパクト・ディスク・EP・ボックス・セット』(1992年)
◉『The Beatles In Mono (Mono Box)』(2009年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

2 : Stereo Mix

 Stereo Mixは右=ヴォーカル/左=演奏に音が分かれています。
(収録CD)
◉『Please Please Me』(2009年リマスター盤)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)
◉『The U.S. Albums (The U.S. Box)』(2014年)
◉『The Early Beatles』(2014年)

3 : Type B Mono Mix

 2のステレオ・ミックスをモノラル変換したもので、ジョージ・マーティンが承認したモノラル・ミックスではない。"ダウン・ミックス"や"偽Mono"と称されている。
(収録CD)
◉『The Capitol Albums Vol.2』(2006年)

4 : Remix

 DVD版『Anthology』にリミックス・ヴァージョンが収録されています。演奏は左寄りでステレオ・エコーがかかり、ヴォーカルは中央。で、これも推測が入りますが…「アー♪」のコーラス部分、どうも特殊加工が施されているようで、ジョージの声が右、ポールの声が左に分離している(ように聞こえる)。真相は定かではありませんが、「アー♪」の部分だけ音質の変化があります。ちなみに同DVDの5.1chサラウンド音源に関しては未確認。
(収録DVD)
◉『Anthology』(DVD=EMI Music Japan TOBW-3201/2006年)

5 : 2015 Remix

 2015年11月6日発売の『1+』(3枚組デラックス・エディション版)にこの曲のMVが収録された際、ヴォーカルがやや中央寄りに移動したリミックス・ヴァージョンが収録されました。ちなみに5.1chサラウンド音源も収録されていますが未確認。
(収録DVD/Blu-ray)
◉『ザ・ビートルズ1+ 〜デラックス・エディション』(2015年)
[余談4 : YouTubeより]

⚪️ファン制作によるもので正規音源ではありませんが、小ネタとしてご紹介を。「Twist And Shout」のStereo Mixを加工したもので、パソコンの音楽編集ソフトがあれば制作可能。これは左側の演奏部分を音域毎に分解→これとヴォーカル部分をマルチ・トラックに挿入→あとは好みのバランスにミックスするだけ。ソフトが2トラックのみでも、少し別の方法で制作可能(具体的にどのソフトでって書けと言われそうですが…(笑))。この動画の場合は右=高域/中央=ヴォーカル&ギター/左=低域に配置。「こういうものも作成可能」という一例でご紹介しましたが、やはり原音とは違ってくるので、デジタル時代の新たな疑似ステレオとも言えそうです。

 ちなみに正規音源ではThe Holliesのベスト盤『Greatest Hits』(2003年)で数曲がこの処理が施されています。
『With The Beatles』へ移動。
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(作成:2001年/更新:2009年9月1日,2011年8月6日,2013年7月18日,2014年12月30日,2015年11月11日,2016年5月9日)
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