The Beach Boys : Holland (1973)


オランダオランダ
(2000/09/27)
ザ・ビーチ・ボーイズ

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1. Sail On,Sailor
2. Steamboat
3. California Saga/Big Sur
4. California Saga/The Beaks Of Eagles
5. California Saga/California (Album Version)

6. The Trader
7. Leaving This Town
8. Only With You
9. Funky Pretty

(Mt.Vernon And Fairway (A Fairy Tale))
10. Mt.Vernon And Fairway-Theme
11. I'm The Pied Piper-Instrumental
12. Better Get Back In Bed
13. Magic Transistor Radio
14. I'm The Pied Piper
15. Radio King Dom

[何故かのオランダ録音]

◎1972年半ばビーチ・ボーイズは、当時のマネージャー、ジャック・ライリーの妙な提案によりオランダに一時移住(ブライアンも後から合流)。そこで製作されたのがこのアルバム(全米第36位/全英第20位)。

 前作でのカール主導によるロック寄りなサウンドを踏襲しつつ、当時のグループの状況の反映なのでしょうか、アルバム・ジャケット同様にどんよりとした雰囲気が全体を覆っている。特に『Wild Honey』(1967年12月)以降はバンドが新たな方向性を見い出すために悪戦苦闘していた時期でもあったため、聴き手にとっては違和感を憶えたり、受け入れるのに時間を要する可能性は高いのも確か。ビーチ・ボーイズにもこういう時代があった事を踏まえた上で、このあと一曲ずつ触れてみたいと思います。
[収録曲]

1. Sail On, Sailor

 70年代前半の代表曲の一つ。リード・ヴォーカルはブロンディ・チャップリンで、ビーチ・ボーイズの一般的なイメージとは対極のブルース・ロック調のサウンド。それでいて歌詞はどこか当時のビーチ・ボーイズの状況を象徴するような内容だったりする。

 この曲が誕生した経緯は諸説あり、作曲者同士のコメントを照らし合わせると「?」や辻褄が合わない部分もありますが、元々は1971年頃、作曲者の一人のレイ・ケネディがThree Dog Night用に書いたとされ、そのレコーディングに居合わせたブライアンがこの曲に何かを感じ取り、衝動的にテープを自宅に持ち帰ってしまう。その後、ビーチ・ボーイズがオランダで録音したアルバムをレコード会社に提出したところ、「キャッチーな曲が無い」とダメ出しが。困り果てたメンバーは、ブライアンのデモのストックの中からこの曲を発見。ブライアンをピアノに向わせ、未完成部分の仕上げを求めますが上手く行かず、結局、作曲者に名を連ねたメンツの協力により曲は完成。1972年11月にLAのスタジオでレコーディングされ、「We Got Love」()を外してこの曲をアルバムの1曲目に収録した(参考資料『音楽専科(1981年5月号)』『THE DIG SPECIAL EDITION THE BEACH BOYS』etc.)…と書きましたが、CDのライナーや関連書籍では(依怙贔屓感情を含んだ形で)異なる記述がされているため、これも諸説の一つと思っていただけると…。不明瞭な点はあるものの、この曲はビーチ・ボーイズのレコードとして世に出る運命だったのではないでしょうか。

 この曲はアルバム発表後の1973年2月にシングル・カットされ、全米第79位の小ヒットに終わる…かと思ったら、ビーチ・ボーイズ人気が再燃した1975年に再発売され全米第49位にランク・イン。ライヴではブロンディ・チャップリン脱退後もサポート・メンバーによって歌われ、90年代にはカール(ボックス『Made In California』に収録)、2012年にはブライアンによって歌い継がれています(ライヴ盤『50周年記念コンサート』に収録)。また、作者の一人レイ・ケネディが元々の歌詞でKGB(1976年)とソロ・アルバム『Ray Kennedy』 (1980年)で発表。カヴァーでは2002年にイギリスの女性シンガー・LuluがStingとのデュエットでアルバム『Together』 収録)、レイ・チャールズ(1986年)、The BluetonesMadeline Bell(2000年)、Matthew Kaminski(2014年)等多数のミュージシャンに取り上げられています。

(「We Got Love」のスタジオ・ヴァージョンについて、下記の配信版の項目に追記をしました。)

2. Steamboat

 作曲:デニス・ウィルソン/作詞:ジャック・ライリーによる曲で、ヴォーカルはカール。キャッチーさはないものの、ゆったりとした内向きな曲調とバック・ヴォーカル、シンセやリズム・ボックス等を組み合わせたシンプルなリズムがポイント(間奏のスライド・ギターがゲストではなくメンバーだったらもっと良かったのに…と、余計なひとこを付け加える)。ちなみに"打ち込み"の音作りが本格化されていなかった70年代前半、リズム・ボックスによる電子音の自動伴奏を(ガイドではなく)レコーディングに取り込むミュージシャンが徐々に現れ、代表的なところではSly & The Family Stonesの『暴動』(1971年)やShuggie Otis『Inspiration Information』(1974年)。ビーチ・ボーイズでは「'Til I Die」、American Spring「Sweet Mauntain」(ブライアンのプロデュース作品等で取り入れられています。

3. California Saga/Big Sur
4. California Saga/The Beaks Of Eagles

 3~5は組曲形式が取られ、合間に暗いメロディのピアノやフルート、ナレーションが挿まれています。ハーモニカやペダル・スティールがこの時代らしく響く3「Big Sur」はマイク・ラヴの単独作品。4「The Beaks Of Eagles」はアル・ジャーディンが中心となって作られた曲。

5. California Saga/California

 カントリー調のサウンドと「California Girls」風のシンセ・ベースが組み合わさった5「California (On My Way To Sunny Californ-i-a)」はアルの作品。リード・ヴォーカルはマイクで、イントロの部分のみブライアンが歌っています(アルバム中、ブライアンの声が聞ける数少ない瞬間)。

6. The Trader

 アナログ盤はここからがB面。作曲:カール・ウィルソン/作詞:ジャック・ライリーによる曲で、前半はロック調、途中からトーンが内向きに変化する。シンセサイザーによるベースも特徴的で、以後のアルバムでも多用されます。ちなみにブライアンへのリスペクト・ソング「Boat To Sail」を発表した事もある女性シンガー、ジャッキー・デシャノンがアルバム『You Know Me』(2000年)でこの曲をカヴァーしています。

7. Leaving This Town

 リッキー・ファターを中心に書かれた曲で、リード・ヴォーカルはブロンディ。プロコル・ハルム風のピアノと曲のテンポ、間奏のシンセ・ソロが印象的。

8. Only With You

 デニスとマイクの共作によるバラード・ナンバーで、リード・ヴォーカルはカール。ちなみにデニスがソロ用にレコーディングしたテイクもあり、2008年に2枚組化された『パシフィック・オーシャン・ブルー』のボーナス・トラックに収録。

パシフィック・オーシャン・ブルー(紙ジャケット仕様)パシフィック・オーシャン・ブルー(紙ジャケット仕様)
(2012/07/04)
デニス・ウィルソン

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9. Funky Pretty

 当時本調子ではなかったブライアンがこのアルバムに提供したのがこの曲(歌詞はマイク・ラヴとジャック・ライリー)。ピアノとシンセサイザーを中心とした内向的&浮遊感のあるサウンドで、スタジオ版を聴いただけだとあまりピンと来ないかも…ただ、次作『In Concert』でのライヴ・ヴァージョンでは逆に外向的で躍動感のある、文字通りFunkyなアレンジに生まれ変わっていますのでそちらも是非。

 なお、アナログ盤ではボーナスEPとして、ブライアン・ウィルソンによる"ヴァーノン山と小道"と題されたおとぎ話(?)が収録されていました(CDでは10~15に収録)。シンセサイザーやエレクトリック・ピアノ等で形成されたサウンドをバックに朗読をしているのはジャック・ライリー(一部ブライアンが登場する)。
[YouTubeより]

⚪️Brian Wilsonの2013年のソロ・ライヴより。Blondie Chaplinのヴォーカルで「Sail On Sailor」を演奏。
[おまけ:ヴァージョン各種]

Sail On,Sailor

1 : Album Version

 一般的に流通している、アルバム・ヴァージョン。

2 : Backing Track

 ヴォーカルなしのバッキング・トラック。エンディングでヴォーカルが登場し、アカペラ状態になる。
(収録CD)
『ホーソーン、カリフォルニア-伝説が生まれた場所(レア・トラックス)』(2001年)

California Saga/California (On My Way To Sunny Californ-i-a)

1 : Album Version

 一般的に流通している、アルバム・ヴァージョン。

2 : Single Version

 1973年4月に発表されたシングル・ヴァージョンは、ヴォーカルのミックスが変えられている(右にあったブライアンのヴォーカルが中央やや左寄りになっている)ほか、「On my way~♪」という掛け合いが加えられている等の違いあり。全米第84位/全英37位にランク・イン。
(収録CD)
『グレイテスト・ヒッツ 3 1970-1986』

Fairy Tale Music

 EP「ヴァーノン山と小道」のサウンド部分のみを繋げたもの。1993年発表のボックス・セットに収録。
(収録CD)
◉『Good Vibrations: Thirty Years of The Beach Boys(グッド・ヴァイブレーションズ・ボックス)』(1993年)

[CDについて]

[1 : 1991年盤]

オランダオランダ
(1991/06/01)
ビーチ・ボーイズ

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『オランダ』((日本盤)Sony SRCS-6092)

◎1991年にアメリカのEpicと、日本のSonyが初CD化。

(主な特徴)
🔵アメリカEpic盤には表ジャケットの下に"D I G I T A L L Y R E M A S T E R E D"の表記がある。日本盤は表記なし。
🔵日本盤は歌詞・対訳・解説書付き。

[2 : 2000年アメリカ盤]

Carl & The Passions - So Tough / HollandCarl & The Passions - So Tough / Holland
(2000/07/29)
Beach Boys

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『Carl And The Passions: So Tough/Holland』 ((アメリカ盤)Capitol 25694)

◎2000年にアメリカのCapitolが『Carl And The Passions "So Tough"』とのカップリングで発売した2枚組CD。

(主な特徴)
🔵2000年リマスター音源
🔵ブックレットには英文ライナーとトム・ペティによる序文を掲載。

[3 : 2000年日本盤]

オランダオランダ
(2000/09/27)
ザ・ビーチ・ボーイズ

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『オランダ』 ((日本盤)東芝EMI TOCP-65568)

◎2000年に発売された日本盤CD。なお2008年には期間限定1,500円のCDも発売されています。

(主な特徴)
🔵2000年リマスター音源
🔵歌詞・対訳・解説書。

[4 : 2008年紙ジャケット仕様日本盤]

オランダ(紙ジャケット仕様)オランダ(紙ジャケット仕様)
(2008/06/25)
ビーチ・ボーイズ

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『オランダ』 ((日本盤)EMI Music Japan TOCP-70534)

◎2008年7月に発売された日本盤CD。

(主な特徴)
🔵LPジャケットのデザインをミニチュア化した紙ジャケット仕様。
🔵2000年リマスター音源
🔵歌詞・対訳・解説書。

[5 : 2016年日本盤]

『オランダ』((日本盤)ユニバーサル・ミュージック UICY-25603)

◎2016年4月6日に発売予定の再発盤。2000年盤と同内容で、盤はSHM-CDになります。
(主な特徴)
🔵SHM-CD
🔵2000年リマスター音源
🔵歌詞・対訳・解説書付
[配信版]

※2015年9月以降、iTunes Music Store版とmoraハイレゾ版には新たに「We Got Love」のスタジオ・ヴァージョンが追加収録されています。

🔵 iTunes Music Store配信版(「We Got Love」のスタジオ・ヴァージョンを追加収録。)

🔵 Amazon MP3版 (CDと同じく全15曲入り)

🔵 moraハイレゾ版 (2015年9月11日発売。「We Got Love」のスタジオ・ヴァージョンを追加収録。)
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(作成:2004年8月14日/更新:2008年8月26日/2012年4月19日,6月26日,2013年9月19日,2015年1月13日,10月7日,2016年2月17日.3月5日)
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[ 2012/04/19 20:01 ] The Beach Boys関連 | TB(-) | CM(2)

>中澤さん

こんにちはどうもです。あっ、言われてみると…。裏ジャケの右側に"using a new Clover Systems custom quadrophonic console"…云々って長々と書いてありますけど、可能性はありそうですね。『Sunflower』にも何やら書いてあって…。

そういえば、昔知り合いから70年代製の古いアンプを貰った事があったんですけど、気付いた時に壊れてしまいました。あれからはや20年。

最近レコードを聴き始めた方も、レコードでこういうのがあると知ったら興味持ってくれるんじゃないかなぁ…。何人かは出てきたらいいなぁ〜と(笑)
[ 2016/06/04 23:36 ] [ 編集 ]

隠れ4chステレオ

この前の「サーフス・アップ」「カール&ザ・パッションズ」もそうでしたが、このアルバムも後で追加されたA-1以外、隠れ4chステレオの可能性が高いです。我が家のUSオリジナル盤をSQデコードすると、リアに音が展開しました。
[ 2016/06/04 02:00 ] [ 編集 ]

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