The Beach Boys : Surfin' U.S.A. (1963)


サーフィンU.S.A.サーフィンU.S.A.
(2001/06/16)
ザ・ビーチ・ボーイズ

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1. Surfin' U.S.A.
2. Farmer's Daughter
3. Misirlou
4. Stoked
5. Lonely Sea
6. Shut Down
7. Noble Surfer
8. Honky Tonk
9. Lana
10. Surf Jam
11. Let's Go Trippin'
12. Finders Keepers

[サーフィン・バンドとしてのビーチ・ボーイズ]

 彼等の一般的なイメージを決定的にした初期の名曲「Surfin' U.S.A.」を収録した1963年5月発表のセカンド・アルバム(全米第2位)。このアルバムは60年代初頭、カリフォルニアで流行していた"サーフィン"をテーマにした曲を中心に、ヴォーカル・ナンバーだけでなく、インストゥルメンタル・ナンバーも収録(3,4,8,10,11)。どちらかというと当時のアメリカではサーフィン系ナンバーはインストゥルメンタルが流行っていて、歌が付いたものは先輩格のJan & Dean(ビーチ・ボーイズとは現在も交流が深い2人組)くらい。そういった当時の状況を反映しての内容だと思われます。

[レコーディングに変化が]

 また、レコーディングの面でも変化があり、当時としては異例の処置で、レコード会社の指定ではない外部スタジオ(ハリウッドのWestern Studios)での録音が許可され、さらに録音機材のトラック数が2 Trackから3?4Trackに。それによりヴォーカルを2回録音する"ダブル・トラック"の手法が可能になり、前作より厚みをつける事に成功しています。"ダブル・トラック"は1964年以降は当たり前のように多用されている技術で、それ以前にギタリストのレス・ポールは独自に8トラック・レコーダーによる多重録音を行っていた事でも知られていますが、まだまだ一般的とは言えず、1963年前半の時点ではビートルズでも1曲、他にNeil Sedakaが「Breaking Up Is Hard To Do」でやっていた程度でした。

[収録曲]

 50年近く経った現在でも一般的に「ビーチ・ボーイズといったらこの曲!」と認識されている超有名曲1「Surfin' U.S.A.」(全米第3位)はChuck Berryの「Sweet Little Sixteen」をベースにBrian Wilsonが新たにサーフィンをテーマにした歌詞を乗せたもの。前作ではどこか抑え気味だったコーラスは、ブライアンとファルセットとマイクの低音ヴォイスのコントラストがハッキリと判るようになり、以降彼らのコーラスの大きな特徴となります。

 この曲のB面として発表されたのがホット・ロッド・ナンバーの6「Shut Down」(全米第23位)で、間奏でマイクがたった2音のサックスを吹いています…って、こうして淡々と書くのも何だか変ですが…(笑)。
 このアルバムの他の曲でも後ろでサックスが鳴っているのが聞こえますが、この曲もソロを取るためというより、曲の低音部の一つとして取り入れたようにも。それが後々の作品では低音の出るハーモニカになったり、シンセ・ベースに置き換えられたり…という感じになっていったんだと思います。

 2曲目「Farmer's Daughter」はブライアンがリード・ヴォーカルの爽やかなナンバーで、後にFleetwood Macがカヴァー。

 また、このアルバムではカール・ウィルソンのリード・ギターをメインにしたインストゥルメンタル・ナンバーが収録され、そのうち3「Misirlou」11「Let's Go Trippin'」はDick Dale & His Del-Tonesのカヴァー。「Let's Go Trippin'」はこの後に出るライヴ盤によりエキサイティングなヴァージョンが入っているのでそちらも是非。「Misirlou」はディック・デイルのオリジナル版が映画『Pulp Fiction』(1994年)の中で使われたほか、テレビ番組『出没!アド街ック天国』でのBGMとしてもお馴染みの曲。

 オンライン・ショップのレビューでは、これらのインストゥルメンタル・ナンバーを穴埋めと捉えている方もいるようなんですけど、このアルバムが出た時代背景を知ると、全部がそうとは言い切れないのではと思ったり。真ん中辺りのアルバムから聴き始めて、次にこのアルバムを聴くと「あれっ?」ってなるのも判らなくもないですが…。ビーチ・ボーイズはコーラス/ハーモニーがメインのグループですけど、そのメンバーの中にロックン・ロールの要素を持ち込んだリート・ギタリストがいる事を決してお忘れなく。

 5「Lonely Sea」はブライアンとゲイリー・アッシャーの共作。これが後々「In My Room」「太陽あびて」「ドント・トーク」へと進化を遂げる、アルバムの中では異彩を放つ内省的なバラード・ナンバー。

 アルバムの最後を締めくくる12「Finders Keepers」もどこか後々の作風の原形のようにも聞こえる、転調がくり返されるナンバー。
[おまけ : 別ヴァージョン/別ミックス]

 ここからはアルバム収録曲のヴァージョン違いやミックス違いを、個人的に把握している範囲内でご紹介したいと思います。最近になって聴き始めた方は「なんかちょっとだけ違うのがあるらしい」程度に留めておくのが無難かと思います。

 アルバム『Surfin' U.S.A.』は基本的に3トラックのテープ・レコーダーで録音され、最終的にモノラルにミックスされました。ステレオ・ミックスは60年代当時の感覚だと「ついでに」作られたようなもので、ステレオ再生可能なプレーヤーやFMラジオが普及した70年代以降はステレオ盤のみが発売され続けました。そのためここでは長年一般流通しているステレオ・ミックスを基準に、それ以外の音源や違いが見られるものを取り上げていきます。

Surfin' U.S.A.

1 : Mono Mix

 1963年当時に発表されたオリジナルのMono Mix。Stereo Mixとの大きな違いはありません。この曲のMono Mixはこれまでにいくつかの編集盤でCD化されており、主なものを挙げてみます。
(収録CD)
『終わりなき夏』(1974年)
『Made In U.S.A.』(1986年)
『シングル・コレクション』(1993年)
◉『グット・ヴァイブレーションズ・ボックス』(1993年)
『U.S.シングル・コレクション(1962-1965)』(2008年)
『プレミアム・ツイン・ベスト サーフィンUSA~ビーチ・ボーイズ・ベスト』(2010年)
◉『サーフィンU.S.A.(モノ&ステレオ)』(2012年)

2 : Backing Track

 ヴォーカルなし、演奏のみのバッキング・トラック。
(収録CD)
『ホーソーン、カリフォルニア-伝説が生まれた場所(レア・トラックス)』(2001年)

3 : Alternate Version(?)

 これは"要注意音源"ということであえて"?"マークを付けましたが…。近年、ビーチ・ボーイズとは全く関係のない第三者が、打ち込みによるドラムやシンセサイザーを勝手にオーヴァー・ダビングしたものが音源配信で出回っています。具体的なアルバム名は避けますが(とりあえず試聴出来るようにリンクを貼っておきます)、こうなると別ヴァージョンというより"ネタ"でしかないような…(苦笑)

 また、この音源が収録されているアルバムでは、Capitol契約以前の最初期音源として知られる"モーガン・テープス"の音源も同様に打ち込みやシンセサイザーによるオーヴァー・ダビングが加えられていますので、もし配信音源で購入予定の方は、念のため音源の試聴、収録アルバム、メーカーのチェックをオススメします(メーカー名に"Capitol"か"EMI"のクレジットが無いものは、このダビングものが含まれている可能性があります)。

Lonely Sea

1 : Stereo Mix

 一般的に流通しているステレオ・ミックス。元々2トラック・レコーディングだったようで、1トラック目(左)に演奏とブライアンのリード・ヴォーカル、2トラック目(右)にバック・コーラスが聞こえる。

2 : Mono Mix

 アルバムのモノラル盤に収録されたモノ・ミックス。
(収録CD)
◉『サーフィンU.S.A. (モノ&ステレオ)』(2012年)

3 : Original Mono Mix

 2013年8月発表のボックス・セットに収録されたもので、テイク自体はアルバム『Surfin' U.S.A.』と同一ですが、冒頭にテイク数のカウントが入り、フェイド・アウトが約13秒程長く入っている。元々この音源は1962年、キャピトル・レコードと契約を取り付けるためのデモとしてレコーディングされたものの一つでした。
(収録CD)
◉『Made In California (カリフォルニアの夢))』(2013年)

Shut Down

1 : Mono Mix

 この曲には3種類のミックス違いがあり、これはモノラル・ミックス。Stereo Mixとの大きな違いはなし。
(収録CD)
◉『終わりなき夏』(1974年)
◉『シングル・コレクション』(1993年)
◉『グッド・ヴァイブレーションズ・ボックス』(1993年)
◉『サウンズ・オブ・サマー』(2003年)
◉『U.S.シングル・コレクション(1962-1965)』(2008年)
◉『プレミアム・ツイン・ベスト サーフィンUSA~ビーチ・ボーイズ・ベスト』(2010年)
◉『サーフィンU.S.A. (モノ&ステレオ)』(2012年)
◉『リトル・デュース・クーペ (モノ&ステレオ)』(2012年)

2 : Alternate Mono Version

 Mono Mixの冒頭に車のエンジン音が追加された別ヴァージョンで、1963年6月にキャピトル・レコードがリリースしたカー・ソング集『Shut Down』に収録。
(収録CD)
◉『シャット・ダウン』(1997年)

3 : Stereo Mix

 アルバムのステレオ盤に収録されている、編集盤でこの曲がステレオで収録されている場合、下記で紹介するcを除いてこのミックスで収録されています。ちなみにボックス・セット『Made In California (カリフォルニアの夢))』(2013年)には"2003 Stereo Mix"とのクレジットがありますが、実際にはこの1963年オリジナル・ステレオ・ミックスで収録されていますのでくれぐれもご注意を。
(収録CD)
◉『サーフィンU.S.A.』(過去に発売されたすべてのCD)
◉『サーフィンU.S.A. (モノ&ステレオ)』(2012年)
◉『グレイテスト・ヒッツ デラックス・エディション〜偉大なる50年〜』(2012年)
◉『Made In California (カリフォルニアの夢))』(2013年) 等。

4 : new stereo mix

 2003年にベスト盤に収録された新規Remix。ちょっと説明が細かくなりますが…従来のStereo Mixで中央から聞こえた演奏(リード・ギター、サックス以外)を一度イコライザーで分割し、左=高音(シンバル類)、中央=中音、右=低音と疑似ステレオ化。さらに従来左右に広がっていた2種類のヴォーカルは中央に寄せられ、それにエコー等のエフェクト処理でステレオ効果を出しているようです。
 リズム隊が不自然に回ったように聞こえるのが好みの分かれる所ですが、恐らく従来のミックスで埋もれ気味だったドラムを際立たせようとしたのではないでしょうか。

 なお、『グレイテスト・ヒッツ デラックス・エディション〜偉大なる50年〜』(2012年)の解説書には、このnew stereo mixが収録されているとの記述がありますが、実際には1963年のオリジナル・ステレオ・ミックスで収録されています。
(収録CD)
◉『サウンズ・オブ・サマー』(2003年)
◉『U.S.シングル・コレクション(1962-1965)』(2008年)

Lana

Mono Mix

 モノラル・ミックス。Stereo Mixよりも再生スピードがやや遅く(意図的な操作ではなく再生デッキの違いで起こる現象と思われる)、フェイド・アウトでは「Please come along with me〜♪」が1回多く入って曲が終わる。
[CDについて]

 60年代のオリジナル・アルバムは過去に複数CD化されていますが、ここではその中からいくつかをご紹介します。

[1:1989年日本盤]
(ジャケットありませんスミマセン)
『サーフィン U.S.A.』((日本盤)東芝EMI CP21-6002)

◎1989年に東芝EMIの廉価版CDシリーズ"PASTMASTERS"の一環として発売。この時が世界初CD化でした。解説・歌詞付き(対訳はなし)。なおアメリカでのリマスター以前に発売されたものなので、ボーナス・トラックは未収録。

[2:2 in 1 CD]

Surfin Safari / Surfin UsaSurfin Safari / Surfin Usa
(2001/02/17)
The Beach Boys

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『Surfin' Safari / Surfin' U.S.A.』 ((アメリカ)Capitol 31517/1990年・2001年)

◎1990年に『Surfin' Safari』との2 in 1で発売されたCD(2つのアルバムを1枚のCDに収録したもの。2 on 1と書かれている事もある)を、2001年に再度リマスターした再発盤。音質は向上していますが、1990年版の方はノイズ除去が強くかけられた印象。ブックレットには英文ライナーと写真を掲載していますが、1990年版を複製したもので、写真や色付きの文字がややぼやけ気味なのが特徴。

 1990年盤と2001年盤の見分け方は、CDのトレーに挟まっている、砂浜の写真が載っている曲目表に小さくアルバム・ジャケットが掲載されているのが2001年リマスター盤。

 ボーナス・トラックとして「Cindy,Oh Cindy」「The Baker Man」「Land Ahoy」を収録していますが、前者2曲は1990年盤と2001年盤とで微妙に違いあり。

🔵1990年盤
「Cindy,Oh Cindy」…Mono Mix。
「The Baker Man」…Mono Mix。

🔴2001年盤
「Cindy,Oh Cindy」…ステレオ・リバーブをかけた疑似ステレオ・ミックス。
「The Baker Man」…ステレオ・リバーブをかけた疑似ステレオ・ミックス。

[3:1997年日本盤]

『サーフィン U.S.A.』((日本盤)EMI Music Japan TOCP-3311)

◎1997年9月18日発売の日本盤。1990年リマスター音源、ボーナス・トラック無し。歌詞・対訳・解説書付き。

[4:1998年紙ジャケット仕様日本盤]
(ジャケットありませんスミマセン)
『サーフィン U.S.A.』((日本盤)EMI Music Japan TOCP-50850)

◎1998年7月に発売された紙ジャケット仕様のCD。1990年リマスター音源を使用。ボーナス・トラックはなし。歌詞(対訳はなし)・解説書付。

[5:2001年日本盤]

『サーフィン U.S.A.』((日本盤)EMI Music Japan TOCP-53162)

Track 1〜12・・・The Original Stereo Album
(Bonus Tracks)
13. The Baker Man (Previously Unreleased)

◎2001年に発売された日本盤。日本盤はアメリカ盤のように『Surfin Safari』との2 in 1仕様ではなく、アルバム単体でのリリース。ボーナス・トラックとして未発表曲「The Baker Man」を収録。ちなみにこのCDはその後、帯のデザインや価格を替え、何度か期間限定販売されています。
(主な特徴)
●2001年リマスター音源。
●英文ライナーの対訳、日本語解説書、歌詞・対訳付。

[6:2016年SHM-CD日本盤]

『サーフィン U.S.A.+1』((日本盤)ユニバーサル・ミュージック UICY-25588)

Track 1〜12・・・The Original Stereo Album
(Bonus Tracks)
13. The Baker Man (Previously Unreleased)

◎2016年4月6日に発売予定の再発盤。2001年盤と同内容で、盤はSHM-CDになります。
(主な特徴)
🔵SHM-CD
🔵2001年リマスター音源。
🔵ボーナス・トラックとして「The Baker Man」を収録。
🔵英文ライナーの対訳、日本語解説書、歌詞・対訳付。

[7:2012年リマスター盤]

サーフィンU.S.A.サーフィンU.S.A.
(2012/07/25)
ザ・ビーチ・ボーイズ

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◎2012年7月25日に最新リマスター盤が発売。日本盤の内訳は以下の通り。

🔵ジャケットはデジ・スリーヴ仕様(紙製。いわゆる"紙ジャケ"とは異なります)。
🔵2012年最新デジタル・リマスター。
🔵Mono & Stereo両ミックスを収録。大半の曲のMono Mixは世界初CD化。
🔵解説・歌詞・対訳付

ちなみに輸入盤は9月25日に発売。

Surfin UsaSurfin Usa
(2012/09/25)
Beach Boys

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(モノラル盤アルバムは今回初登場)
 Track 1〜12にかけて収録されているアルバムの"モノラル盤"がCD化されるのは今回が初めて。曲単位では恐らく2,3,4,5,7,8,9,11,12が初CD化と思われ、それ以外の曲は過去に何かしらの形でCD化されています。

 今回収録されたMono Mixは、全体を通してStereo Mixよりも再生スピードがやや遅く、エコーの量も控えめなのが特徴(言い換えるとStereo Mixのほうがエコーが強め)。"ステレオ感"を出すために左右に広げ過ぎな印象のStereo Mixとは違い、音に安定感があるのがMono Mixの魅力でしょうか。
 後々のアルバムのような凝った音作りはしていないので、露骨にヴァージョンが違う曲というのはありませんが、サウンドの一体感とノリの良さではMono、爽やかさではStereo…と、そういった印象の違いは楽しめると思います。

(日本盤の解説書)
 日本盤付属の解説書は1997年版CDの加筆・再構成をしたもの。2001年版に付いていた英文ライナーの対訳はカットされた代わりに、結成から現在までのグループの軌跡が6ページにわたって掲載されています。

(ジャケット)
 紙製のデジ・スリーブ仕様で、見開き4面。プラ・ケースよりも4mm程薄いので場所を取らずに済む(笑)。見開きの内側の左側にはオリジナルLPの裏ジャケット、右側には1990年及び2001年リマスター盤ブックレットと同じ写真(レコーディング風景)を掲載。また、以前のリマスター盤のような詳細なデータ満載のライナーは省かれ、LP時代のように文字情報は最小限に留められています。
 また、プロデューサーのクレジットはNick Venetの単独から"Brian Wilson & Nick Venet"に改められています。
[配信版]

iTunes Store配信版

● Mono & Stereo両mix収録。
● ボーナス・トラック : なし

Amazon MP3版

● Mono & Stereo両mix収録。
● ボーナス・トラック : なし

moraハイレゾ版 (2015年6月15日発売)

● Mono版はこちら
● Stereo版はこちら
● ボーナス・トラック : なし
 …ということで、他に何か発見や指摘等ありましたら、後々追記したいと思います。
My Favorite Albumsのコーナー(目次)へ戻る。

(作成:2000年6月27日/更新:2004年8月1日,2011年11月,2012年4月19日,6月28日,8月9日,10月20日,11月6日,2013年9月5,6日,2015年7月18日,2016年2月10日,3月5日)
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