The Beach Boys "Becoming the Beach Boys: The Complete Hite & Dorinda Morgan Sessions"


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All Tracks Performed by The Beach Boys
Except "Barbie" and "What Is A Young Girl Made Of" Performed by Kenny & the Cadets (Disc 2-20〜32)
Original Recordings Produced by Hite Morgan
This Compilation Produced for Release by Brad Rosenberger
Audio Production by Mark Linett

◎発売から3ヶ月程遅れてのアルバム紹介を。The Beach Boysの最初期音源(1961〜62年/通称"モーガン・テープス")のCD2枚組コンプリート盤が、2016年8月26日にリリースされました。アメリカのOmnivore Recordingsからの発売で、Brother Recordsのクレジットがあり、マスタリングもお馴染みのMark Linett氏が担当しています。

(主な内容)
🔵2016年リマスター音源
🔵紙製のデジパック仕様(内側にCDを取り付けるトレーあり)
🔵20ページ・ブックレット付(ライナー/レーベル写真/収録曲のクレジット)

 最初期音源はこれまで『Lost & Found (邦題:アーリー・イヤーズ)』(1991年)や『スタジオ・セッションズ61~62』(2000年)、『Surfin'』(2000年)など様々な形で発売されたのが、現存する未発表アウトテイクが大量追加され、全62トラックを収録(曲は従来通り9曲)。
[結成まで]

 改めてこうした音源に触れていると、そういえばThe Beach Boysってどうやって誕生したんだろう?・・・っと、今更ながら思ってしまいまして(汗)。そこで色々と関連書籍や資料を読み返すと、決してブライアン一人だけでは結成まで辿り着けなかった事に気づいたり。

 元々両親が音楽好きで、ピアノでThe Four Freshmenのハーモニーを研究していたウィルソン家の長男・ブライアン、そんな彼にロックンロールを薦めたのが、ギターに夢中な3男のカール、次男デニスはいわゆるヤンチャで、まだ音楽には然程関心のない様子。いとこのマイクはR&Bやドゥーワップが好きで、ウィルソン家と交流を持ち時々歌い合う仲。

 一方、ブライアンの同級生のアル・ジャーディンは、彼らとは別にフォーク・グループで活動。Murry Wilson()の紹介で地元の音楽出版社でオーディションを受けるも不合格。そこでアルはブライアンやフットボール仲間とグループ結成。しかしこれもサマにならず。業を煮やしたブライアンは、カールやマイクと歌う事を提案。ブライアンの部屋で合流した4人はやがてThe Pendletonesと名乗り、再び音楽出版社のオーディションへ。

 オーディションでは当時のヒット曲を中心に演奏。しかしオーナーのモーガン夫妻が求めていたのはオリジナリティで、「他に曲はないか?」とバンドに尋ねる。すると、普段バンドに殆ど関わらないデニスが「サーフィンをご存知でしょうか?」と不意に口を挟み、カリフォルニアの海岸で流行しているスポーツの事を話し始めた。しかし曲がまだ未完成だったため、次の機会に回される事に・・・と、資料によって話の前後が入れ替わっていたり、筆者毎に解釈も異なる部分がありましたが、ここまでが今回の音源に至る前の大まかな経緯。そして本作収録の一連のセッションが行われた後、1961年11月、ファースト・シングル「Surfin'」が発売されます。
[注釈]
Murry Wilson :
 言わずと知れたウィルソン一家の父親。複数の関連書籍で詳しく触れられていますが、音楽以外の部分はあまり触れない方がいいような…。ちなみにMurry Wilsonが書いた曲は数曲発表され、カントリー系のBonnie LouやJohnnie Lee Wills & His Boysが1953年に「Two Step Side Step」を録音。コンピ『Graduation Day: 50 Songs That Shaped the Beach Boys』に収録)。

 1962年4月頃から1964年までビーチ・ボーイズのマネージャーをした後、ブライアンとの確執を期に1965年にThe Sunraysを手がける。1967年にはCapitolからムード音楽的なアルバム『Many Moods Of Murry Wilson』を発表。70年台前半には「Won't You Tell Me」という曲をThe Sunraysがデニスの協力のもとにレコーディング(1996年に『Vintage Rays, Collectable Records』で初収録。2014年には7インチ・シングルでも発売)。晩年は隠居状態が続き、1973年6月4日、癌のため他界。
[収録曲]

 大部分はモノラルで、World Pacific Studioでの録音(恐らくThe Byrdsの『Preflyte』と同じ場所と思われる)。いくつか収録されたステレオ音源は、『LOST & FOUND (1961-1962)』収録版よりやや中央寄りのミックスになっています。また、個人的に関連アルバム全てを把握しているわけではないため、既発音源は『LOST & FOUND (1961-1962)』と比較して書き進めていきます。

[Disc 1]
"SURFIN'" (Brian Wilson/Mike Love)

1. Surfin' (Demo)

 1961年9月、モーガン夫妻の自宅で録音されたDemo Version。恐らく『Hawthorne, CA』(2001年)収録の(アレンジが未整理な)Demoより後に録音されたものと思われます。
(その他の主な収録CD)
◉『Good Vibrations: Thirty Years of The Beach Boys』(1993年)

2. Surfin' (Takes 1-2)

 『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)は別々のトラックとして収録されていましたが、ここでは2テイクまとめられています。

3. Surfin' (Take 3)
4. Surfin' (Take 4)
5. Surfin' (Take 5)
6. Surfin' (Take 6)

 恐らく初登場のアウトテイク。Take 3と6は失敗、他は最後まで演奏。

7. Surfin' (Take 7)

 冒頭のアナウンスとマイクのつぶやきのみ『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)に収録。

8. Surfin' (Take 8)
9. Surfin' (Master)

 シングル用に採用されたテイク。"Take 8"はセッション・テープ、"Master"はシングル用マスターからで、テイクは同一。

"Luau'" (Bruce Morgan)

 シングル「Surfin'」のB面曲。Hite Morganの息子、Bruce Morganの曲も歌うよう指示され、仕方なく歌ったとのこと。途中でマイクやブライアンのソロ・パートが入る。

10. Luau (Demo - Take 1)
11. Luau (Demo - Take 2)
12. Luau (Demo - Take 3)

 Demo版はテイク毎にコーラスのアレンジが異なり、"Take 3"では簡略化していく。このうち"Take 1"が『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)で初出でしたが、別編集。冒頭のブライアンの声は「Lavender」のリハーサル・テイクから持ってきた事が判明。

13. Luau (Takes 1-2)

 『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)が初出。その時は"Studio Chatter""Luau (First Attempt)"と別々に収録されましたが、今回は1つトラックとして収録。

14. Luau (Takes 3, 5-6)
15. Luau (Take 7)
16. Luau (Takes 8-11)

 初登場のアウトテイク。

17. Luau (Take 12)
18. Luau (Master)

 OKテイク。"Take 12"は冒頭にテイク数のアナウンスが入る。"Master"はアナウンスなしのシングル用マスター。

"Lavender" (Dorinda Morgan)

19. Lavender (Rehearsal - Take 1)

 初登場のリハーサル(Take 1)。Hite Morganの妻・Dorinda Morganの作品で、フォー・フレッシュメン・スタイルのアカペラ・ヴォーカルが聴ける。

20. Lavender (Rehearsal - Take 2)

 ちょっとややこしいです。『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)が初出のリハーサル・テイク・・・かと思ったら、そちらは編集されていた事が判明。まず今回は前半1分が初登場部分。ブライアンが話し出して仕切り直し、以降の部分は『LOST & FOUND (1961-1962)』に途中まで使用されています。

21. Lavender (Rehearsal - Take 3)

 ほぼ初登場で、後半数秒のみ『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)に使用されています(LOST...収録版だと2分5秒より後の部分)。

22. Lavender (Take 1)
23. Lavender (Take 2)
24. Lavender (Take 4)

 初登場音源。Take 1,2はアウトテイク、Take 3は完奏。ギター、ベース、ドラムが加わり、ヴォーカルもバッチリ。ところが低音が効き過ぎて、音割れしているのが実に惜しい。低音の難点さえなければもっと早く世に出ていたのでは…。

"Surfin' Safari" (Brian Wilson/Mike Love)

 後にCapitolから発売されたものとは異なる初期テイク(1962年2月8日録音)で、歌詞も一部異なる。

25. Surfin' Safari (Takes 3-4)

 恐らく初登場。Take 3は途中で終了、Take 4は完奏。

26. Surfin' Safari (Takes 5-6)

 Take 5のアナウンスと、ブライアンがデニスに話しかける声のみ『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)で使用。

27. Surfin' Safari (Take 10)

 これがOKテイクとなり、このテイクを元にオーヴァー・ダビングが行われる。

28. Surfin' Safari (Overdub - Take 1 on Take 6)

 リード・ギターのオーヴァー・ダビングのTake 1。冒頭のアナウンスをカットしたものが『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)に収録。

29. Surfin' Safari (Overdub - Take 2 on Take 10)

 初登場音源。リード・ギターのオーヴァー・ダビングのTake 2ですが、エンディング間際で終了。

30. Surfin' Safari (Stereo Overdub)

 リズムのズレでおなじみ(?)の、ギターとドラムを追加した音源で、過去に流通した音源より音が中央寄りにミックス。『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)では音がハッキリと左右に分かれている。

 ちなみにこれのモノラル・ミックス(ドイツ盤シングルで出されたもの)が、非公式アルバム『SURFIN' 1962』(2013年)に収録。

31. Surfin' Safari (Master)

 "Take 1 on Take 6"からアナウンスをカットしたマスター・テイク。

[Disc 2]

"Surfer Girl" (Brian Wilson)

 1962年2月8日録音の初期テイク。1963年録音のお馴染みのテイクとは異なり、イントロのコーラスがない。

1. Surfer Girl (Take 1)

 アナウンスから歌い出しまでは『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)に収録。ここで聴けるように実際はもう少し先まで演奏されていました。

 興味深い事に、ブライアンは始めからオーヴァー・ダビングを想定していたようで、自分のメイン・パートをまだ歌っていない(いちおう歌ってはいる)。その分、普段埋もれがちな他のパートの旋律がある程度聞き取れる。

2. Surfer Girl (Take 2)
3. Surfer Girl (Take 3)
4. Surfer Girl (Take 4)
5. Surfer Girl (Take 5)
6. Surfer Girl (Take 6)

 初登場音源。Take 1同様、ブライアンのリード・パートを除いた形で演奏が続く。

7. Surfer Girl (Master)

 "Take 6"にブライアンのファルセットをオーヴァー・ダビングしたマスター・テイク。

8. Surfer Girl (Overdub - Background Vocals)

 謎の別ヴァージョン。"Take 6"を元に、ブライアン以外の誰かがリード・パートを歌っている。

"JUDY" (Brian Wilson)

 ブライアンのオリジナル曲。このセッションで録音されたまま、1969年までお蔵入りに。

9. Judy (Take 1)

 初登場音源。

10. Judy (Take 2)

 初登場音源で、OKテイクの元になったテイク。この後オーヴァー・ダビングが行われる。

11. Judy (Overdub - Takes 1-2)

 "Take 2"にカールのリード・ギターをオーヴァー・ダビング。Take 1は即終了、Take 2は『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)に"Prev. unissued take"の表記で収録。

12. Judy (Overdub - Take 4)

 "Take 2"にカールのリード・ギターをオーヴァー・ダビング。これが"Master"になりますが、フェイド・アウトなしで収録。

13. Judy (Master)

 "Overdub - Take 4"をフェイド・アウト処理したマスター・テイク。

14. Judy (Demo - April 1962 Guitar Solo)

 これもTake 2にカールのギターを追加したもので、1962年4月、Murry Wilsonがキャピトルとの契約を取り付けるために作成したデモ音源の一つ(ブックレットにテープ・ボックスの写真が掲載されている)。このテープから「Surfin' Safari」「409」「Lonely Sea」は(フェイド・アウト処理され)オリジナル・アルバムに採用され、「Their Hearts Were Full Of Spring」はボックス『Good Vibrations: Thirty Years of The Beach Boys』(1993年)に収録。今回「Judy」が収録されたことで全て世に出た事になります。他の曲の未編集版は現在ボックス『Made In California』(2013年)に収録。

"Beach Boy Stomp/Karate" (Carl Wilson)

 カール・ウィルソン作のインストゥルメンタル・ナンバーで、演奏が一旦停止すると"Karate〜っ!!"と叫ぶ声が入る。1969年に初リリース。

15. Beach Boy Stomp/Karate (Take 1)
16. Beach Boy Stomp/Karate (Rehearsal - Take 2)

 リハーサル・テイク。途中の叫び声はなし。

17. Beach Boy Stomp/Karate (Overdub - Take 1 on Take 1)

 "Take 1"にリード・ギターをオーヴァー・ダビングしたヴァージョン。途中の叫び声はなし。

18. Beach Boy Stomp/Karate (Overdub - Take 2 on Take 1)

 同じく"Take 1"にリード・ギターをオーヴァー・ダビングしたヴァージョン・その2。曲の最後に"Karate〜っ!!"が入る。1969年以降にリリースされたのはこの音源のようです。

19. Beach Boy Stomp/Karate (Master)

 マスター・テイクは『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)で初出。曲の長さが編集で2分10秒になっている(註:『LOST & FOUND (1961-1962)』収録版は1度目の"Karate〜っ!!"にステレオ・リバーブがかけられている)。

"Barbie" (Bruce Morgan)

 ここからはKenny & the Cadetsなる変名で1962年に発表されたもので、"Barbie""What Is A Young Girl Made Of"共にBruce Morganの作品。あらかじめ用意されていたバッキング・トラック(演奏者不明)にブライアンのリード・ヴォーカル、Al Jardine、Carl Wilson、Audree Wilson(ウィルソン兄弟の母親)、Val Poliutoのバック・コーラスが加えられています。"Barbie"はThe Teddy Bears"To Know Him Is To Love"風のバラード。"Surfer Girl"っぽいともいえますが、録音はこの曲の方が後(1962年3月8日)。

20. Barbie (Overdub - Take 1/Stereo)
21. Barbie (Overdub - Takes 2-4/Stereo)
22. Barbie (Overdub - Take 5/Stereo)

 いずれも初登場のアウトテイク。

23. Barbie (Overdub - Take 7/Stereo)

 "Album Master"の元になった音源のStereo Mix。

24. Barbie (Single Master)

 ちょっとした謎が・・・。シングル用マスター版(モノラル)ですが、これの元になったテイクのStereo Mixが今回未収録で、『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)には入っている。

25. Barbie (Album Master)

 "Overdub - Take 7"をモノラルにミックスしたもの。シングル用マスター版よりフェイド・アウトが約4秒長い。

"What Is A Young Girl Made Of" (Bruce Morgan)

 "Barbie"のB面曲で、Bruce Morganの作品。1960年前後らしさを感じる軽快なアメリカン・ポップス。

26. What Is A Young Girl Made Of (Demo)

 初登場音源。ピアノのみで歌われている大元のデモ音源(演奏者不明)。

27. What Is A Young Girl Made Of (Overdub - Take 1/Stereo)
28. What Is A Young Girl Made Of (Overdub - Take 3/Stereo)

 初登場のアウトテイク。2テイク共に途中で終了。

29. What Is A Young Girl Made Of (Overdub - Takes 4-5/Stereo)

 "Take 4"は初登場で、出だしで歌えず即終了。Take 5は『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)が初出。ただしミックスが異なり、LOST...版では右=演奏/左=ヴォーカルとハッキリと分離している。

30. What Is A Young Girl Made Of (Overdub - Take 6/Stereo)

 シングルに採用されたOKテイクで、こちらはステレオ・ミックス。

31. What Is A Young Girl Made Of (Overdub - Take 7/Stereo)

 註:ブックレットでは『LOST & FOUND (1961-1962)』(1991年)に収録された事になっていますが、実際に収録されたのは"Take 5"。

32. What Is A Young Girl Made Of (Master)

 シングル用のモノラル・マスター(大元はTake 6)。
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作成:2016年6月30日/更新:2016年11月10日
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