The Beatles・その他のアルバム Part 2 : The Decca Tapes

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The Beatles『The Silver Beatles』(CD=Overseas Records TECP-18006/再発盤)

1. Three Cool Cats
2. Crying Waiting Hoping
3. September In The Rain
4. Besame Mucho
5. Searchin'
6. The Sheik Of Araby
7. To Know Her Is To Love Her
8. Take Good Care Of My Baby
9. Memphis,Tennessee
10. Sure To Fall
11. Money (That's What I Want)
12. Till There Was You
[1962年1月1日@デッカ・レコードでのオーディション]

◎(Part 1からの続き)こちらもデビュー前の音源。ブライアン・エプスタインがマネージャーに就任後、ビートルズは1962年1月1日@ロンドンのDecca Recordsでオーディションを受ける事に。が、結果はBrian Poole & Tremeloesが合格しビートルズは落選。そしてご存知の通り翌年ビートルズが大ブレイクを果たした事で、担当プロデューサーは失笑を買う羽目に(実際には他のイギリス国内大手レーベルも断っていたわけで…)。先見性を見抜けなかったというより、シンガー+そのバックバンドという形態が主流だった時代、誰が主役か分かり難い掴み所のなさも仇となったような。合格したとしてもジョージ・マーティン同等の人物と出会えたか…。その後を知る今となっては、この時不合格で良かったのではなでしょうか(その後の話は『Please Please Me』の項目へ)。

(80年代にマイナー・レーベルから発売)

 この時録音された15曲入りのテープはブライアン・エプスタインの手に渡り、経緯は不明ですが、1978年頃から非正規な形で出回るようになり、1982年にはアメリカのマイナー・レーベルから正規盤として発売。日本でも1985年にテイチクから『The Silver Beatles』と題されて銀色のジャケットでLP/CD発売(CDは帯の色や価格等発売時期によって異なるほか、8cmCDシングルとしてバラ売りされていた事もある)。上記ジャケットと曲目がその日本盤(解説書、歌詞カード付き。ただし対訳はなし)。権利関係の都合上レノン・マッカートニー作品3曲がカット、ピッチ(テープ・スピード)が上げられているが難点ですが、ピート・ベストの演奏が聴け、大半が公式アルバム未収録曲だったため、発売当初は貴重な音源でした。

(90年代以降〜現在)

 しかし権利関係の曖昧さや、1995年に5曲が『Anthology 1』に公式発表されたのを境にこれらのLPやCDはしばらく市場から姿を消す事に(で、代わりにピッチ補正&全15曲収録盤が裏で出回る)。

 2012年頃から再びリリースが始まり、全15曲収録の『The Beatles (The Capricorn Tapes)』がiTunesやAmazonのDL音源配信発売されましたが、2013年5月頃に配信停止。2013年4月にはDoxyから15曲入りでLPとCDがセットになった『The Decca Tapes』がリリース。2016年現在も『Anthology 1』から漏れた曲がマイナー・レーベルからのリリースされ続けています。
[日本盤収録曲]

1. Three Cool Cats

 50年代に数多くのロックン・ロールやR&Bの名曲を作ったJerry LeibeとMike Stollerの作品で、アメリカのR&Bグループ、The Coastersが1959年に発表。この時期のビートルズはシングルのB面(カップリング曲)からいい曲を見つけては自分達なりのアレンジでカヴァーする事が多く、これもそういった中でレパートリーとなった一曲。リード・ヴォーカルはジョージで、途中で一瞬ポールとジョンに代わる。原曲の間奏はサックスだったのに対し、ビートルズ版ではギター・ソロに置き換えられています。

2. Crying,Waiting,Hoping

 こちらもジョージがリード・ヴォーカルで、『Anthology 1』未収録。50年代アメリカのロックンローラー、Buddyの作品で、彼の死後の1959年に遺されたホーム・デモにダビングを施されて「Peggy Sue Got Married」のB面として発表(註:ダビングなしの弾き語り版、バック・コーラス付、コーラスなし版等複数のヴァージョンあり)。ビートルズはBBCラジオのセッションでも演奏しており、そちらは『Live At The BBC』(1994年)に収録。

3. September In The Rain

 リード・ヴォーカルはポールで、『Anthology 1』未収録。作曲:Harry Warren、作詞:Al Dubin。いわゆる"スタンダードもの"で、Sarah Vaughan、Dinah Washington、Julie London、近年ではRod Stewartや由紀さおり(日本語版)等、挙げればきりがない程数多くのカヴァーが存在(こちらにもズラッと書いてあります。こういうタイプの曲調が後々「When I'm Sixty-Four」や「Honey Pie」へと繋がって行ったのではないでしょうか。

4. Bésame Mucho

 リード・ヴォーカルはポールで、『Anthology 1』とは別テイク(そちらはアビイ・ロード・スタジオでのテイク)。元々は1941年にメキシコのコンスエロ・ベラスケスという人が書いた曲との事。これもBen E. King、The Coastersほか大量のカヴァー・ヴァージョンがあり、その殆どがラテン風でゆったりとしているのに対し、ビートルズ版はテンポを上げてロックン・ロール風にアレンジ。何というか、童謡や歌謡曲をPunk Rock化するノリに近いものが。
(別テイク収録のCD)
◉『レア・ライヴ'62(完全版)』(1962年暮れのライヴ・ヴァージョン)
◉『Anthology 1』(1995年/1962年6月6日@EMIでの初セッション)

5. Searchin'

 Jerry LeibeとMike Stollerの作品で、アメリカのR&Bグループ、The Coastersが1957年に発表した曲で、彼らのファースト・アルバム『The Coasters』(1958年)にも収録(2013年3月に日本盤CDが出ました)。このビートルズ版ではポールがリード・ヴォーカル。『Anthology 1』(1995年)にも収録されていますが、イントロ部分にブライアン・エプスタインのコメントが挿入されています。ちなみにThe Holliesによるカヴァー・ヴァージョンが1963年8月にシングル発売され、全英第12位のヒットを記録。

6. The Sheik Of Araby

 作詞:Harry B. Smith、作曲:Francis Wheelerが1921年に書いた作品で、邦題は「アラビアの酋長」。これもDuke Ellington、Fats Domino、Spike Jones等大量のカヴァー・ヴァージョンが存在し、ビートルズ版ではジョージがリード・ヴォーカル。『Anthology 1』(1995年)にも収録。

7. To Know Her Is To Love Her

 ビートルズとは後々何かと関わる事になるフィル・スペクターの作品で、彼が在籍していたTeddy Bearsが1958年に発表し全米ナンバー・ワン・ヒットとなった名曲。元々女性ヴォーカルものだったため、原題は「To Know Him Is To Love Him」でした。後にジョンがソロ時代に取りあげた(アルバム『Menlove Ave.』に収録)ほか、The Shirelles、Cilla Black、Peter & Gordon、Amy Winehouse等がカヴァー。ビートルズはこの曲で3声コーラスのスタイルを憶え、これが後々「This Boy」へと繋がる事に。ちなみに『Anthology 1』には未収録。
(別テイク収録のCD)
◉『レア・ライヴ'62(完全版)』(※1962年12月のライヴ・ヴァージョン)
◉『Live At The BBC』(1994年)

8. Take Good Care Of My Baby

 アメリカの歌手Bobby Veeの1961年のヒット曲で、ジェリー ・ゴーフィンとキャロル・キングによる作品。オリジナル曲を作っていたビートルズにとって「The Loco-Motion」「Will You Love Me Tomorrow」等の名曲を書いていたキャロル・キングは意識下に置いていた人物の一人だったようです。ビートルズ版のリード・ヴォーカルはジョージで、これも『Anthology 1』には未収録。この曲に限らずなのは、ビートルズが歌うとメロディ・ラインが洗練されて聴きやすくなっている曲が多いような。この曲だと「Baby〜っ♪」のハモりのつけ方が変えてあって。原曲に愛着がある方もいるのでこれは好みの問題で。

9. Memphis,Tennessee

 Chuck Berryが1959年にシングル「Back in the U.S.A.」のB面で発表した曲で、イギリスでは1963年になってヒットしたほか、Johnny Rivers、The Animals、日本ではキャロルがアルバム『ルイジアンナ』(1973年)でカヴァー。ビートルズ版のリード・ヴォーカルはジョン。これも『Anthology 1』には未収録。
(別テイク収録のCD)
◉『Live At The BBC』(1994年)
『I Saw Her Standing There』(2013年/※上記アルバムとは別テイクのBBC音源)

10. Sure To Fall (in Love With You)

 ビートルズがChuck Berryと並びリスペクトしていたCarl perkinsが1956年に発表した曲。リード・ヴォーカルはポール。これも『Anthology 1』には未収録。
(別テイク収録のCD)
◉『Live At The BBC』(1994年)

11. Money (That's What I Want)

 初期モータウン(Tamlaレーベル)のヒット曲としても知られるBarrett Strongの1959年のナンバー。勿論その後『With The Beatles』のラストを飾る曲で、こちらの演奏はアップテンポ。これも『Anthology 1』には未収録。

余計なメモ : テープ・スピードの違いの他に、イントロのギター2音がグニャっとなっているものと、正常なものの2種類が存在する。『シルヴァー・ビートルズ』は惜しくも前者で収録…。

12. Till There Was You

 元々はミュージカル『Music Man』の挿入歌で、ジャズ・シンガーのPeggy Leeをはじめ多くのカヴァーが存在。こちらも後に『With The Beatles』に収録され、そちらはアコースティック・ギターとボンゴ主体だったのに対し、こちらは他の曲同様基本編成で演奏。さらにギター・ソロが2回含まれている。これも『Anthology 1』には未収録。
(別テイク収録のCD)
◉『With The Beatles』(1963年)
◉『Live At The BBC』(1994年)
◉『レア・ライヴ'62(完全版)』(※1962年12月のライヴ・ヴァージョン)
["The Silver Beatles"未収録曲]

Like Dreamers Do

 レノン/マッカートニー作品で、リード・ヴォーカルはポール。正式デビュー後にビートルズがレコーディングする事はなくThe Applejacksに提供(註:彼らのヴァージョンは現在iTunes StoreでDLリリースされていますが、再録版も存在する)。ビートルズ版は1995年に『Anthology 1』で公式発売。

アップル・ジャックスアップル・ジャックス
(2009/07/15)
アップル・ジャックス

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Hello Little Girl

 ジョンが最初に書いたと言われる曲で、リード・ヴォーカルもジョン。この曲も後に同郷のバンド・The Fourmostに提供され、全英第9位のヒットを記録。Gerry & The Pacemakersも1963年7月にレコーディングをしたもののお蔵入りとなり、1991年に日の目を見ています。ビートルズ版は1995年に『Anthology 1』で公式発売。

The Best of FourmostThe Best of Fourmost
(2005/05/23)
Fourmost

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Best Of: The Definitive CollectionBest Of: The Definitive Collection
(1991/10/15)
Gerry & Pacemakers

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Love Of The Loved

 レノン/マッカートニー作品で、リード・ヴォーカルはポール(『Anthology 1』には何故か未収録)。ビートルズと交流のあったCilla Blackのデビュー曲として発表(プロデュースはジョージ・マーティン)。Cilla Blackは他に「It's For You」「Step Inside Love」といったレノン/マッカートニー作品を取り上げています。

Completely Cilla (1963-1973)Completely Cilla (1963-1973)
(2012/04/22)
Cilla Black

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[CDいろいろ]

[1995:Anthology 1]

(Disc 1)
15. Searchin'
16. Three Cool Cats
17. The Sheik Of Araby
18. Like Dreamers Do
19. Hello Little Girl

⚫️公式発売された音源は全15曲中5曲。そのうち「Searchin'」はイントロにブライアン・エプスタインのコメントを挿入した形で収録。で、近年マイナー・レーベル各社から発売されたものの大半はこの5曲を除いた形でリリースされています。

[2013:The Decca Tapes]

Decca Tapes [Analog]Decca Tapes [Analog]
(2013/03/26)
Beatles

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⚫️2013年にDOXYというレーベルから発売されたもので、LP+CD付きという形態。15曲全て収録されていますが、ピッチが高めなのが惜しい。

YouTubeにDoxy盤をかけている動画がupされていました。が、あー…半音高いですね…(・_・)

[2013:I Saw Her Standing There]

(Disc 2)
1. Money (That's What I Want)
2. Till There Was You
3. To Know Her Is To Love Her
4. Take Good Care Of My Baby
5. Memphis,Tennessee
6. Sure To Fall (In Love With You)
7. Crying, Waiting, Hoping
8. Love Of The Loved
9. September In The Rain
10. Besame Mucho
etc...

⚫️2013年4月頃にRock Melonというメーカーから発売された2枚組CDで、10曲のDecca音源を収録。疑似ステレオでピッチが高く、特に「Money (That's What I Want)」は音揺れがあったりと、マスタリングに難が。その他の収録曲についてはこちらで。
http://benice.blog.fc2.com/blog-entry-1260.html

[2016:UNRELEASED MASTERS]

(Disc 1 : The Lost Decca Tapes)
1. Money (That's What I Want)
2. Till There Was You
3. To Know Her Is To Love Her
4. Besame Mucho
5. Memphis Tennessee
6. Sure To Fall (In Love With You)
7. Crying Waiting Hoping
8. September In The Rain
9. Take Good Care Of My Baby
10. Love Of The Loved
11. The Decca Tapes (Interview With Pete Best)
12. P.S. I Love You
13. The Love Me Do Controversy (Interview with Pete Best and Andy White)
14. Till There Was You ("Ed Sullivan Show"1964)
15. The Boys Want You Out (Interview with Pete Best)
16. My Bonnie (Stereo Mix)


⚫️2016年にはCODAというメーカーから廉価4枚組CD Boxが発売。公式盤にほぼ未収録の音源を寄せ集めたもので、『Anthology』シリーズも聴き倒してもっと色々聴いてみたい方向け。初めて接する方には新鮮、長年のファンにとってはお馴染みの…大半が過去の非公式流出音源で(ヨーロッパ圏で権利関係が緩くなって出せちゃったというか)、状態も種類によって様々。Decca音源はDisc 1に10曲収録され、状態も比較的良好。11以降はインタビューやその他お馴染みの音源より。このボックスについてはこちらをご覧ください。
http://benice.blog.fc2.com/blog-entry-1211.html

[2016:The Lost Dacca Tapes]


⚫️上記CDのDisc 1とほぼ同内容の日本盤CDで、通常プラケース仕様・日本語解説書付き。さらに「Ain't She Sweet」が追加され17曲入り。

[2016:Greatest Hits And Lost Tresures]
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⚫️こちらも同じくCODAから発売された4枚組CD Boxで、『UNRELEASED MASTERS』と一部内容がダブります(タイトルや曲が微妙に異なる)。Disc 1にDecca関連10曲を収録されたほか、詳細はこちらへ。
http://benice.blog.fc2.com/blog-entry-1905.html
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(作成:2003年7月29日/更新:2010年10月23日、2013年8月12,15,16,26日,9月5日,10月2日,2015年9月23日,2016年5月4日,8月21日,9月14日)
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