The Byrds : Sweetheart Of The Rodeo (1968.8)


1. You Ain't Going Nowhere
2. I Am A Pilgrim
3. The Christian Life
4. You Don't Miss Your Water
5. You're Still On My Mind
6. Pretty Boy Floyd
7. Hickory Wind
8. One Hundred Years From Now
9. Blue Canadian Rockies
10. Life In Prison
11. Nothing Was Delivered

Roger McGuinn (vo,g)
Chriss Hillman (b,vo)
Gram Persons (g,vo)
Kevin Kelley (d)

(Additional Musicians)
Lloyd Green (Steel Guitar)
Earl P. Ball (Piano)
Jon Corneal (Drums)
John Hartford (Banjo,Guitar)
Roy M. Huskey (Bass)
Jaydee Maness (Steel Guitar)
Clarence White (Guitar)

⚪️1968年8月発表のアルバム(註:資料によって7月22日または8月30日と記載されている)で、プロデューサーは前作に続いてGary Usherが担当。が、それ以外はメンバー・サウンド共に大きく変動が。

 オリジナル・メンバーがRoger McGuinnとChris Hillmanの2人となったThe Byrdsは、新たにKevin Kelley(d/元Rising Sons)とGram Persons(g,k/元The International Submarine Band)を加えて再始動。Roger McGuinnは当初、キーボード奏者を加えて「Eight Miles High」や「Tribal Gathering」等のJazz Rock志向を突き進めたり、過去現在のアメリカ音楽を総括したコンセプト・アルバムのプランを立てていましたが、キーボード奏者で加入したはずのGram Personsが全編カントリーで行く事を主張。他のメンバーもこの意見を受け入れ、バンドは1968年3月に本場・ナッシュヴィルに出向き、地元のミュージシャンやClarence White(g)をゲストに迎えてアルバムを制作します。

 アルバムから聞こえてくるのは、同時代的なサイケデリックや『SGT. Pepper...』影響下のサウンドではない、ノルタルジックなカントリー・サウンド。これまでも例えば「Mr. Spaceman」「Wasn't Born To Follow」をはじめ、The Beatlesでリンゴが歌っている曲やThe Monkeesでマイク・ネスミスが歌っている曲、他にBuffalo SpringfieldやThe Lovin' Spoonful等がカントリー調の曲を演奏していましたが、ロック・フィールドで全編それで通したアルバムは稀な例。

 収録曲のうちオリジナルはGram Personsが2曲、他はカントリー/フォーク系のカヴァーで、当時本人版は未発表だったBob Dylanの2曲をアルバムの前後に収録。バンド側が急な方向転換を図ったにもかかわらず、ディラン提供曲1「You Ain't Going Nowhere」は偶然にも同じ方向だったのが興味深い(ちなみにこの曲、以前『空耳アワー』で取り上げられていました(笑))。3「The Christian Life」The Louvin Brothersが1959年に発表した曲。バーズ版は元々Gram Personsのヴォーカルでレコーディングしていましたが、彼のレコード契約上の問題でRoger McGuinnのヴォーカルに差し替えられています。後にThe Moveがカヴァー(CD『The BBC Sessions』ではThe Byrdsのカヴァーが3曲収録されているほか、奇遇にも両者はGram Persons脱退前日の1968年7月7日@ロイヤル・アルバート・ホールに出演している)。オリジナルでは7「Hickory Wind」が個人的にはベスト・トラック。

 ただ、The Byrdsの過去の作品とのギャップの大きさは否めないところで(12弦ギターが聞こえない替わりに外部奏者のスティール・ギターが目立つ、コーラスが薄まっている、主役の座が新入りに奪われているetc...)、ファンの反応は次回作のチャート・アクションに表れ、発表直後はカントリー愛好家からも冷遇されたようです(伝統的な音楽を現代的な解釈で表現する際に、こうしたすれ違いはよくありますよね…。上手く作用すれば次の世代へと受け継がれていくのですが…)。現在では称賛する意見も多いものの、聞き手の好き嫌いがハッキリと分かれるアルバムでもあります(僕も通して聴けるようになったのはつい最近なんです実は…😅)。

 しかしこのアルバム、チャート・ヒットを追いかける層より同時代のミュージシャンへの影響が大きかったようで、The Rolling Stonesとの交流も見逃せないし(1968年12月発表の『Beggar's Banquet』にもカントリー調の作品が収められ、後々『Sticky Fingers』で昇華する)、サイケ以降のアメリカン・ロックの流れはThe Bandの登場と共に、The Byrds出身者&人脈の活動が、やがて70年代に入ると巡り巡ってThe Eaglesまで行き着くことに。実際のキー・ポイントはBob Dylanの『John Wesley Harding』(1967年12月)だったのかもしれませんが、この『Sweetheart Of The Rodeo』も70年代以降のアメリカン・ロックの流れを変えるきっかけとなった重要な作品だと思います。

 …と、アルバムの話は以上ですが、The Byrdsはというと、この時の編成での活動期間は僅か5ヶ月。Gram Personsは契約上の理由でリード・ヴォーカルの差し替えやその他諸々の理由が重なった末に早くも脱退(1968年7月8日)、8月にはKevin Kelleyも技術面で交代を余儀なくされ、新たにNashville WestというバンドからClarence White(g)とGene Persons(d,vo)が正式加入。ところが9月、元々カントリー志向だったChris Hillmanは、Gram Personsと新たにThe Flying Burrito Brothersを結成し脱退。後任でJohn York(b)が加入。遂にオリジナル・メンバーはRoger McGuinnただ一人に…ということで、次回作『Dr.Byrds & Mr.Hyde』へとつづく。

[CD について]

[1997年リマスター盤]

Track 1〜11・・・Original Album
(Bonus Tracks)
12. You Got A Reputation
13. Lazy Days
14. Pretty Polly
15. The Christian Life (Rehearsal)
16. Life In Prison (Rehearsal)
17. You're Still On My Mind (Rehearsal)
18. One Hundred Years From Now (Rehearsal)
19. All I Have Is Memories (Instrumental)

(1997年輸入盤:Legacy 65150)

◎アメリカSonyのリイシュー・レーベル、Legacyから発売されたCD。1997年リマスター音源で、ボーナス・トラック8曲を収録。ブックレットにはライナー・ノーツや写真を掲載。ボーナス・トラックの12〜14は『The Byrds (Flyte'65-'90)』(1990年)が初出。12「You Got A Reputation」はTim Hardinのカヴァー、13「Lazy Days」は14「Pretty Polly」はトラディッショナル・ソング。イギリスのTreesもカヴァー(『The Garden Of Jane Delawney』2008年リマスター盤CDボーナス・トラックに収録)。19「All I Have Is Memories」は実際のクレジットとは異なり、ドラムのKevin Kelleyのオリジナル。ここではBacking Trackが収録されましたが、下記で紹介するLegacy Editionにはヴォーカル入りのヴァージョンが収録されています。

(1997年日本盤:Sony SRCS-9227)

◎上記1997年リマスターCDの日本盤で、"SUPER 1600 NICE PRICE"シリーズの一つとして発売されたもの(『Mr. Tambourine Man』〜『Ballad Of Easy Rider』までは赤い帯で統一)。歌詞・対訳・解説書付き。現在は品番と帯の色を変えて再発売されています。

(2003年紙ジャケット仕様日本盤:SME Records MHCP-71)

◎2003年11月に発売された日本盤。紙ジャケット仕様で、CDの内容はLegacy盤(1997年リマスター)と同一。歌詞・対訳・解説書付き。

[2003年2枚組レガシー・エディション]

[Disc 1]
1. You Ain't Going Nowhere
2. I Am A Pilgrim
3. The Christian Life
4. You Don't Miss Your Water
5. You're Still On My Mind
6. Pretty Boy Floyd
7. Hickory Wind
8. One Hundred Years From Now
9. Blue Canadian Rockies
10. Life In Prison
11. Nothing Was Delivered
(Bonus Tracks)
12. All I Have Are Memories (vo:Kevin Kelley)
13. You Got A Reputation
14. Pretty Polly
15. Lazy Days
16. The Christian Life (vo:Gram Parsons)
17. You Don't Miss Your Water (vo:Gram Parsons)
18. One Hundred Years From Now (vo:Gram Parsons)
19. Radio Spot

[Disc 2]
1. Sum Up Broke / The International Submarine Band
2. One Day Week / The International Submarine Band
3. Truck Drivin' Man / The International Submarine Band
4. Blue Eyes / The International Submarine Band
5. Luxury Liner / The International Submarine Band
6. Strong Boy / The International Submarine Band
7. Lazy Days (Alternate Version)
8. Pretty Polly (Alternate Version)
9. Hickory Wind (Alternate "Nashville" Version)
10. The Christian Life (Rehearsal Version/Take 7)
11. The Christian Life (Rehearsal Version/Take 8)
12. Life In Prison (Rehearsal Version/Takes 1&2)
13. Life In Prison (Rehearsal Version/Takes 3&4)
14. One Hundred Years From Now (Rehearsal Version/Takes 12&13)
15. One Hundred Years From Now (Rehearsal Version/Takes 14&15)
16. You're Still On My Mind (Rehearsal Version/Take 13)
17. You're Still On My Mind (Rehearsal Version/Take 48)
18. All I Have Are Memories (Alternate Instrumental/Take 17)
19. All I Have Are Memories (Alternate Instrumental/Take 21)
20. Blue Canadian Rockies (Rehearsal Version/Take 14)

◎2003年に発売された2枚組Legacy Edition(拡大版)。デジ・パック仕様でプラスチックのスリップ・ケース付き。日本盤には英文ライナーの翻訳、歌詞・対訳を掲載したブックレット付き。

 Disc 1のボーナス・トラックは1997年リマスター盤とほぼ同じですが唯一例外として、これまでインスト盤で収録されていたKevin Kelleyのオリジナル12「All I Have Is Memories」は初めてヴォーカル入りで収録。

 Disc 2の1〜6はGram Personsがバーズ以前に在籍していたThe International Submarine Bandの音源。1〜3はガレージな雰囲気のシングル(初CD化)、4〜6は既にカントリー・ロックなアルバム『Safe At Home』(1968年6月)より。

 Disc 2-7〜20は全て初登場音源で、7〜9,18,19が別ヴァージョンor別テイク、10〜17,20はGram Personsがヴォーカルのリハーサル・テイク。

[2014年リマスター盤]

(2014年紙ジャケット仕様日本盤:Sony Music Japan SICP-30414)

◎2014年に発売された日本盤。2014年DSDリマスタリング、紙ジャケット仕様で、盤はBlu-spec CD2を採用。オリジナル・アルバム(1〜11)は新規リマスター、ボーナス・トラックも1997年リマスター盤とは内容が異なり、Mono Single Versionや別テイク等、全25曲収録。

(作成:2004年4月7日/更新:2015年10月14日)
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