The Byrds : The Notorious Byrd Brothers (1968.1)


1. Artificial Energy
2. Goin' Back (Album Version)
3. Natural Harmony
4. Draft Morning
5. Wasn't Born To Follow
6. Get To You
7. Change Is Now
8. Old John Robertson (Album Version)
9. Tribal Gathering
10. Dolphin's Smile
11. Space Odyssey
Roger McGuinn (12-String guitar,Vocals)
David Crosby (Rhythm Guitar,Bass,Vocals)
Chris Hillman (Bass,Guitar,Vocals)
Michael Clarke (Drums)

(Additional Musicians)
Clarence White (Guitar)
Paul Beaver (Moog Synthesizer)
Jim Gordon (Drums)
Red Rhodes (Pedal Steel Guitar) etc.

Produced By Gary Usher

⚪️初のベスト盤『The Byrds' Greatest Hits』(1967年8月/米6位)に続き、翌1968年1月に発表された5作目のオリジナル・アルバム(米47位/英12位)。The Beatlesの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年6月)を境にロック・シーンはアルバム制作に意識が向かうようになり、本作もその影響が色濃く反映されたものに。曲間を極力無くし、SEの多用、レスリー・スピーカーやモーグ・シンセサイザーの導入、様々なスタジオ・エフェクトによりサイケデリックなサウンドを作り上げています(これはプロデューサーのゲイリー・アッシャーが同時期に手がけていたChad & JeremySagittarius等にも共通する)。

 …と、ここまで書いておいて曲やバンドに全く触れていない(笑)。収録曲のうち9曲がオリジナルで、2曲が外部ライター(Carole King & Gerry Goffin)の曲。Roger McGuinnのリード・ヴォーカルが多いものの、作曲面ではDavid CrosbyとChris Hillmanの貢献度が際立つ。サイケデリック処理されたR&B1「Artificial Energy」で始まり、イギリスではDusty Springfieldのヒットで知られる2「Goin' Back」へ。サイケデリック+ジャズな3「Natural Harmony」から間髪を容れず4「Draft Morning」へ(David Crosbyが書いた曲を基にRoger McGuinnとChris Hillmanが仕上げた戦争を題材にした作品。穏やかなコーラスと激しい銃撃戦のSEが印象的)。5「Wasn't Born To Follow」はカントリー調とフェイジングによるサイケ感が印象的な作品で、映画『Easy Rider』(1969年)の挿入歌としても知られる曲。この曲はキャロル・キング自身もThe City名義で発表したほか、The Monkeesが『Good Times!』(2016年)でカヴァー。ドアを閉めるSEで始まる6「Get To You」はイギリスを題材にした美しい作品で、後にThe Niceがカヴァー(BBCセッション及び『The Thoughts Of Emerlist Davjack』2003年EXPANDED DE-LUXE EDITIONに収録)。アナログ盤はここまでがA面(CDだとそのまま次の曲へ繋がっている)。

 このアルバム、聴きどころは全部!と言うと話がそこで終わるので(笑)先に進めると、7「Change Is Now」はアルバムのハイライトの一つ。リマスター盤の解説書でも指摘されている通り、バンドの前期(フォーク・ロック〜サイケデリック)と後期(カントリー)の要素がこの1曲に集約している。アルバムに先駆けてシングル発売されていた8「Old John Robertson」は、アルバム収録に際しフィドルが加えられ(中央から聞こえる)、カントリー+クラシック+サイケデリックが混ざり合ったカオスなサウンド。Single Versionよりもやかましくなったような…(笑)。1967年1月14日@サンフランシスコで行われた、いわゆる"Human Be-In"を題材にした9「Tribal Gathering」は50年代のジャジーなヴォーカルとリズムに60年代後半ジミヘン以降のハードなサウンドが融合した不思議な作品(全曲不思議といえば不思議で)。イルカを題材にしたDavid Crosbyの作品10「Dolphin's Smile」ではブラジル風のリズムが取り入れられ、そして11「Space Odyssey」では遂に宇宙に出て月まで辿り着いてしまった(笑…歌の中では1996年に行った事になってます)。録音が行われた1967年11月の時点ではRock/Pop界での実用例が少なかったモーグ・シンセサイザーと、ファズをかけた12弦ギターの多重録音でスペイシーなサウンドを作り上げている。

 フォーク・ロック、サイケデリック、ジャズ、カントリー、電子音楽…ここまで多彩なアイデアをぶち込んで作り込まれたアルバムを発表すると、次はどこへ向かうか?となるわけで。(時代的には)盛った次は余計な装飾を取り除き原点に立ち返るパターンもあれば、イギリスのバンドのようにそのままプログレに向う事も出来たり…。Roger McGuinnも実際にJazz Rock的な方向を模索していたようでしたが、現実にはMichael Clarkが技術的な問題に直面し(レコーディングでは途中からJim Gordonが代役を務めている)、David Crosbyも存在感が増すに連れて他のメンバーと歩調が合わなくなり、アルバムが発表された時点で2人共にバンド脱退を余儀なくされる立場に。アルバム制作終盤にはGene Clarkが復帰するも、テレビ出演を経て約3週間で再脱退。後の事を知っている今となっては、このアルバムの音の中に次の答えが見えているじゃないかとも思ったりもしますが(加えて、本作ではゲスト扱いのClarence Whiteのギター・プレイは正式メンバー同様の活躍を見せている)、当事者は行き当たりばったりでアルバム制作をしていたとの事(『レコード・コレクターズ』1997年4月号より)。残されたRoger McGuinnとChris Hillmanの2人は、新たにドラマーとキーボーディストをメンバーに迎えバンドを継続。1968年3月からアルバム制作に入りますが、この後思わぬ展開に…。

…と、ここで話を終わらせる事も出来ますが、付け加えると、日本でリアルタイムでこのアルバムに接した、という話が皆無に等しいなぁ…と(誰かしらいるとは思いますが…)。アルバムの発表時期と日本での販売権が移行した時期がほぼ重なるので、広くは流通していないのは確かかと。となるとやはり60年代当時に陽の当らなかった作品が、CDの登場で突如脚光を浴びる現象が連発したした90年代から、世代問わず聴かれるようになった可能性はあるかと。既にどこかの雑誌でリサーチ済みかもしれないけど、このアルバムの聴かれ方もちょっと気になったりする。


[CDについて]

[1997年リマスター盤]

Track 1〜11・・・Original Album
(Bonus Tracks)
12. Moog Raga (Instrumental)
13. Bound To Fall (Instrumental)
14. Triad
15. Goin' Back (Version 1)
16. Draft Morning (Alternate End)
17. Universal Mind Decoder (Instrumental)

(輸入盤:Legacy 65151/1997年)

◎アメリカSonyのリイシュー・レーベル、Legacyから発売されたCD。1997年リマスター音源+ボーナス・トラック6曲収録。ブックレットには英文ライナー・ノーツや写真を掲載。

 ボーナス・トラックの12「Moog Raga」『Never Before』(1989年)とは別ミックス。13「Bound To Fall」はカヴァー曲でMichael BrewerとTom Mastinの共作。後にChriss Hillmanが『Manassas』(1972年)でも取り上げていた曲。バーズ版はバッキング・トラックのみ。14「Triad」も『Never Before』が初出のDavid Crosbyの作品(また歌詞がなんとも…(笑))。当時バーズではお蔵入りとなり、Jefferson Airplaneのアルバム『Crown of Creation』(1968年)に提供。15「Goin' Back (Version 1)」はアルバム版とは異なる、スロー・テンポの初期別テイク。16「Draft Morning」はクロス・フェイドしない状態の別ミックス。17「Universal Mind Decoder」は"Change Is Now"のヴォーカル無しの初期別テイク(…で、この後に隠しトラックが2つ。後半には当時の内部事情を伺わせる不穏なセッション風景が)。

(1997年日本初盤:Sony SRCS-9226)

◎上記1997年リマスターCDの日本盤で、"SUPER 1600 NICE PRICE"シリーズの一つとして発売されたもの(『Mr. Tambourine Man』〜『Ballad Of Easy Rider』までは赤い帯で統一)。歌詞・対訳・解説書付き。

(2003年日本盤紙ジャケット仕様:SME Records MHCP-70)

◎2003年8月に発売された日本盤。紙ジャケット仕様の限定盤で、CDの内容は米Legacy盤(1997年リマスター)と同一。歌詞・対訳・解説書付き。

(2013年日本盤Blu-spec CD2仕様/SICP-30042)

◎2013年に"レガシー・レコーディング・シリーズ"のの一つとして発売された日本盤。通常のプラ・ケースで盤はBlu-spec CD2を採用。

[2012年リマスター盤]

(2012年Blu-spec CD&紙ジャケット仕様:Sony Music Japan SICP-20376)

名うてのバード兄弟(紙ジャケット仕様)名うてのバード兄弟(紙ジャケット仕様)
(2012/05/30)
ザ・バーズ

商品詳細を見る

Track 1〜11 : Original Album Mono Version
Track 12〜13 : Mono Bonus Tracks
Track 14〜24 : Original Album Stereo Version

◎2012年リマスター盤は日本独自企画のもので、紙ジャケット仕様、DSDリマスタリング、盤はBlu-spec CDを採用。歌詞・対訳・解説書付き。先に紹介した1997年リマスター盤とは別物で、アルバムはMono & Stereo両ミックスを収録し、ボーナス・トラックとして「Lady Friend」「Old John Robertson」のMono Single Versionを収録。
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(作成:2004年4月6日/更新:2015年10月1日,2016年6月11日)
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