The Beach Boys『THE SMiLE SESSIONS』(その2・改訂6版)

 9月2日付の記事のつづきということで。2011年11月、『THE SMiLE SESSIONS』(日本盤は単に"スマイル"と題されている)が「通常盤(1CD)」「デラックス・エディション(2CD)」「コレクターズ・ボックス(5CD+2LP+2Single)」の3種類のバリエーションでリリースされました。日本盤はまず通常盤が2日に、他は16日。輸入盤ではさらに特典付等複数のヴァージョンが存在します。今回はその中から1枚物の通常盤について触れてみます。

スマイルスマイル
(2011/11/02)
ビーチ・ボーイズ

商品詳細を見る


Smile SessionsSmile Sessions
(2011/11/01)
Beach Boys

商品詳細を見る

HMV
Tower Records

The Beach Boys『THE SMiLE SESSIONS(通常盤)』(CD=EMI Music Japan TOCP-71112)
1. Our Prayer
2. Gee
3. Heroes And Villains
4. Do You Like Worms (Roll Plymouth Rock)
5. I’m In Great Shape
6. Barnyard
7. My Only Sunshine (The Old Master Painter / You Are My Sunshine)
8. Cabin Essence
9. Wonderful
10. Look (Song For Children)
11. Child Is Father Of The Man
12. Surf’s Up
13. I Wanna Be Around / Workshop
14. Vega-Tables
15. Holidays
16. Wind Chimes
17. The Elements: Fire (Mrs. O’Leary’s Cow)
18. Love To Say Dada
19. Good Vibrations

(Bonus Tracks)
20. You’re Welcome
21. Heroes And Villains (Stereo Mix)
22. Heroes And Villains Sections (Stereo Mix)
23. Vega-Tables Demo
24. He Gives Speeches
25. Smile Backing Vocals Montage
26. Surf’s Up 1967 (Solo version)
27. Psycodelic Sounds: Brian Falls Into A Piano
[通常盤の主な内容]

●"通常盤"って事で、プラ・ケース仕様。オリジナル・ブックレットにはブライアン・ウィルソンによるライナー・ノーツ、アルバムのクレジット、写真を掲載。
●日本盤に付属のモノクロ24ページ・ブックレットには曲目解説、ブライアン・ウィルソンによるライナー・ノーツの対訳、歌詞・対訳付。
[これまでの主な経緯と大雑把なまとめ]

 前回(その1)書いたものとほぼ同じ事を書くと…このアルバムについて触れるとなると、雑誌で特集が組めたり1冊の本が出せたりドキュメンタリーDVDが作れたり議論をすれば延々と続いたり妄想が膨張する恐れが出たりする程もの凄〜く長〜くなってしまうので、この後にこれまでの流れやポイントを大雑把にまとめてみます(それでも長く感じるという方は、無難にwikipediaをご覧ください)。

●1966〜1967年5月にかけて録音されたオリジナル"SMiLE"は、様々な悪条件が重なり未完成のまま製作中止(締切日はとっくに過ぎていた…アルバム制作に1年近くも費やす事は、60年代のPop Music界では前例がありませんでした)。

●ヴォーカル・パートも不完全、パーツも殆ど未編集のまま製作中止となったため、アルバムの完成した状態(完パケ)のマスター・テープは存在しません(よくありがちな、作ったけど発売出来なかった、というパターンではありません)。

●レコーディング期間中にレコード会社が強引に印刷してしまったアルバム・ジャケットの裏面には曲目が書かれていますが、これは実際に予定していた曲順ではありません。よく見ると曲目の上に小さく"See Label for correct playing order"と書かれており、「正確な曲目はレーベルをご覧ください」という意味合いのことわり書きが記されています。

●製作中止後、いくつかの曲は直後に『Smiley Smile』(1967年9月)に印象の大分異なるリメイク版が発表されたほか、「Our Prayer」「Cabin Essence」「Surf’s Up」等、未完成部分に追加録音を行い、小出しに発表された曲もあります。

●1972〜3年頃、当時のレコード契約の条件により"SMiLE"を発表する動きがあり、カール・ウィルソンがエンジニアと共に編集を試みたものの、「どれを繋げてもフィットする」のがネックとなり、この時も発売中止に。

●80年代、ファンの間で"SMiLE"の研究が徐々に行われるようになり、ファンジンや書籍が発行されるようになる。

●1983年頃から非公式に"SMiLE"の音源が流出→アナログ盤のBootlegとして出回るようになる。やがてCDの時代に入ると枚数も増え、これが90年代後半辺りまで続く。

●ビデオ『An American Band』(1985年)で「Do You Like Worms」「Fire」の一部が公表される。

●1990年にCapitolが60年代のアルバムをCD化した際、『Smiley Smile / Wild Honey』のボーナス・トラックとして"SMiLE"セッションからの音源の一部が収録される。

●1993年発表のボックス・セット『Good Vibrations: Thirty Years of the Beach Boys(邦題:グッド・ヴァイブレーション・ボックス』のDisc 2及びDisc 5(Bonus Disc)でこれまで未発表だった"SMiLE"セッションの音源が大量収録された。

●1995年にキャピトルから"SMiLE"の音源を収録したボックス・セットの企画が立てられましたが、ブライアンのOKが出ずにこの時も中止。

●2001年頃からブライアン・ウィルソンのソロ・コンサートのレパートリーに"SMiLE"からの楽曲が少しずつ加わるようになる。2002年2月の日本公演でも「Our Prayer」「Heroes And Villains」「Surf’s Up」「Good Vibrations」が披露されました。

●2003年5月、ブライアン・ウィルソン本人の口から「2004年2月、イギリス・ロンドンで"SMiLE"のコンサートを行う」と宣言。

●その後、ブライアン・ウィルソンとダリアン・サハナジャ(Wondermints)を中心に修復作業が開始。ダリアンはマーク・リネットの協力のもと、自身のノート・パソコン(iBook)にかき集められる限りの"SMiLE"のセッション音源を取り込み、それをPro Toolsという編集ソフトで検証。従来の面倒なアナログ・テープ編集と違い、パソコン上で様々な組合せを短時間で編集、聴く事が可能に。そしてあらゆる組合せを試み、ブライアンと相談しながら一つずつ構築。

 ドキュメンタリーDVDを観ると、ダリアンは「アルバムは完成しなくていい。流れるような演奏をどうやってやるか。それだけさ。」と助言。そして作業は着々と進行。ところが元々歌が付くはずだった「Do You Like Worms」の歌詞で判らない箇所が見つかり、ブライアンはいきなりヴァン・ダイク・パークスに電話をかけ、問いつめる。その事ががきっかけでヴァン・ダイク・パークスも作業に参加。さらに他の曲の未完成部分にも新たに歌詞を加えています。

●2004年2月、"SMiLE"は遂に完成し、予告通りロンドンで行われたライヴで"SMiLE"を初披露。その後それを基にスタジオで改めてレコーディングを行い、『Brian Wilson Presents SMiLE』(WPCR-11916)として発表(2004年10月)。ライヴ・スタジオ盤共に大きな成功を収めます。
 この時に発表されたものが"SMiLE"の完成形になります。結局それまで我々が耳にしていたものは、あくまでアルバムの"録音風景"や"断片"でしかありませんでした。

●2011年ビーチ・ボーイズ版"THE SMiLE SESSIONS"は、Compilation ProducerとしてクレジットされているMark Linett、Alan Boyd、Dennis Wolfeの3名が中心となり、2004年発表の『Brian Wilson Presents SMiLE』を基に再構築。編集は60年代のようなテープの切り貼りではなく、マスター音源をデジタル変換後、Pro Tools等の編集用ソフトで様々な断片を組合せ、モノラルでミキシング(※ボーナス・トラック等にはステレオ音源あり)。それを最終的にブライアンがチェックするというスタイルが取られたようです。

●また、1966〜71年にかけて録音された素材のみで再構築されているため、未完成の欠落部分は欠落したままにしてあるか、当時の録音素材から抽出→合成(日本語解説書では"マッシュ・アップ"という言葉が用いられている)を行い補強。

 そういった事情のため、これが1967年に出るはずだった"SMiLE"の完成形というワケではありません(ややこしいし読むのも面倒でしょうけど、これは触れておかなければならない事なので)。もし未聴の方で、より楽しみたい方は『Brian Wilson Presents SMiLE』を聴いた後でこれに接するのもベターかと思います。

●2011年11月、ビーチ・ボーイズ版"THE SMiLE SESSIONS"が正式発売。

 …と、ハードコアな話を除くとこんな感じになりました。もしここまで読んで、大雑把なわりにはスゲー長く書いてるしハードコアじゃないかと感じたら、いやぁ〜全然。まだまだ序の口です(笑)
 
 中には2004年ブライアン版に対して不服だったという意見も聞かれました(実際には不服という言葉よりもDirtyな表現が飛び交っていた…。SMiLEに何か別のものを求めていたのかもしれませんね…)。あとは作品以前に…聴き手側が1976年以降〜現在のブライアンの声に慣れていなかったり、受け入れる気持ちがない方は何かしらブツクサ言うでしょうね…。

 他には…"答え合わせ"ばかりに気を取られてしまい、「一つの作品」として素直に向き合えない状態に陥ったり…これはある意味仕方がないですよね。一つの作品として向き合うには頭の中で切り離さないと…。聴き手は受け取ったものに対してあれこれ考えるものですけど、原作者としては純粋に、聴いて楽しんでもらいたい気持の方が強いんじゃないかなぁ…と。

 僕も都合上「これには深ぁ〜いワケがあるんだよー」っていうのをある程度知っている立場で書いてますけど、ここまで書いた事を抜きにして、フツーにアルバムを買って、(伝説やら幻想やら先入観なしに)初めてこの作品に接した方はどう受け止めたんだろう…というのがとても興味があります。

 何かしらの不満があったとしても、2003〜4年の工程と展開を抜きにして、今回のビーチ・ボーイズ版"THE SMiLE SESSIONS"の発売が実現していたかは疑問な所です。

 個人的には感想をひと言で言うと…感銘を受けました。そうであった事に少しほっとしています(笑)。本当は3つあるんですけど、うち1つはあまりにも個人的過ぎるので省きます(言ったところで他人には無関係なので…)。
 あと、2004年の『Brian Wilson Presents SMiLE』のCDと2005年の来日公演で接した"SMiLE"も含めて、特にライヴであの音楽を体現出来た事は僕の中では大きかった。ただ、「出来る事ならビーチ・ボーイズのあの声で聴きたかった…とは全く思わなかった。」と言ったら嘘になります…(笑)。その辺は、どこかで割り切って…というよりブライアンのソロの曲で、それが特にいい曲だったりすると「これがビーチ・ボーイズの曲として出てたらなぁ…。」と思う事がよくあります。なんだろう…ファン・サイト「SMiLE DAYS」さんがある箇所で指摘している事も、言われてみると腑に落ちるし、あとは音楽的にバンドとソロの境界線の曖昧さがそうさせているのでしょうか…。

 とかなんとかいいつつ、『SMiLE』のどこか無邪気な一面や、カテゴライズも不可能な程、情緒不安定気味に鳴り響く深く入り組んだサウンド。曲の構造もいわゆる3?4分のPop Songの形態から逸脱している(『SMiLE』をいま一つ馴染めない方の一因はここにもあると思う。もしうまく感覚が掴みにくい場合は一度、映画やアニメ、テレビ・ゲームを音だけ聴いてみるってのもいいかも…たぶんもしかしてひょっとして)。へんてこりんとかワケが判らないと言われても仕方がない程、色んなものが混ざっている。にも関わらずどの音も自然と絡み合っていたり、隣接していたり。他の人ならその何秒かを抽出して1曲作っちゃうでしょうね。「これ、どういう意味?」とツッコミを入れられても仕方がない程に難解な歌詞も含め、その密度の濃さのため戸惑いを憶えたり、理解に時間を要する所は『Pet Sounds』とも共通しています。
 時には3〜5声ハーモニー(基本4声だと説明する評論家もいる)だけでなく、一度にコーラスが数パターンも聞こえてくる曲もあったり…資料をよく確かめたわけではないので推測になりますけど、『Pet Sounds』(1966年)のセッションで、4トラックよりもさらに多重録音が出来る8トラック・レコーダーを使った事も、そういう複雑な音作りに拍車がかかったのではないでしょうか(注:4トラックのみで録音された曲もある)。ビートルズもトラック数の変化でレコーディングの方向性が変わりましたからね。
 あとは…『SMiLE』の全体像の一つとして(個人的には大分後になってから聴いた)ジョージ・ガーシュインの「Rhapsody In Blue」もモチーフとしてあったのかもしれません(またはそれのPop Music版を目指していたというか)。

 こうして点と点が結びつき、ポップ・シンフォーニー(本人は後に"ロック・オペラ"と呼んでいる)という形で通して聴く事によって、新たに見えてくるものも出てくると思います。そして曲が進む度、色んな場面が目まぐるしく待ち受けてきますけど、最終的に行き着く所は意外と普遍的なものだったりして。

 もう一つ感じた事は…完全に主観ですけど、このアルバムがレコーディングされていた当時のアメリカの状況、『Brian Wilson Presents SMiLE』が発表された前後の状況、そして今年…そういう事も少なからず関連しているのではないかと…といっても直接的な事は歌われていないし、出るタイミングがたまたまだったのかもしれませんが…って、話が異様に長過ぎですね(汗)。普段は一行書くのにも四苦八苦しているのにどうしたことか…。

 約20年近く、この作品には何かしらの形で接して来てました(といいつつも、時間の長さよりも密度が大事な気もします)。あとは、この作品が発表された事で気持ちが一気に冷めるか、一生付き合える作品に出会えたか…これからまた、改めて聴き返してみます。
[おまけ:音源について・簡易版]

 ここからはオリジナル・アルバム部分の音源について軽く触れてみたいと思います。個人的に把握している範囲内で、大雑把に書いた"簡易版"です。

●もしここに書かれている事でも疑問・謎が解消されなかったり、録音日やテイク数からどのパーツがどうとかをもっと細かぁ〜く、何もかも徹底的にもっともっともっと深ぁ〜く知りたい方は、日本盤CDの解説書、海外の関連サイト、関連書籍等を読む事をオススメしたいと思います(既に色々とご存知の方にとっては、申し訳ありませんがこれ以上読んでも目新しい事は何も出て来ないと思っていただけると…)。

●基本的に正規発売された音源重視で書いています。非正規盤音源はあくまで非公式で勝手に出されたものなので、たまに触れる程度に留めてあります。

●up後に何か気が付いたり、他の方からコメント欄やメール等で指摘がありましたら書き足したいと思います。

1. Our Prayer

●初出はアルバム『20/20』(1969年)。ただしそこでは1968年にヴォーカルが追加されたものが収録されていました。今回はそのオーヴァー・ダヴがない1966年当時のヴァージョンで。ただし別ミックス。

●2011年版(=デラックス・エディション及びCollector's BoxのDisc 1-1)は基本的に『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』収録の1993年版と同一テイクですが、リヴァーヴが深めにかけられているほか、19〜20秒目で編集箇所あり。
『20/20』(1969年)
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

●1981年発表の7枚組ボックス・セット『The Capitol Years(邦題:ビーチ・ボーイズ・ボックス カリフォルニアより愛をこめて)』(CD=東芝EMI TOCP-6151?57)のDisc 5"Timeless"にもMono Mix収録されていますが、こちらは『20/20』ヴァージョンのStereo MixをMonoに落としたもの。(追記:2012年1月15日)

2. Gee

 オリジナルはThe Crowsという50年代のヴォーカル・グループので、そこからコーラス・パートをピック・アップし、その後に「Heroes And Villains...」というコーラスへと続く。この曲は『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』収録の「Heroes And Villains (Sections)」が初出(そのStereo版が今回のCDのボーナス・トラック22に収録)。ここでは2004年ブライアン版を基に編集されています。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

3. Heroes And Villains

 いきなり手抜き宣言をしますが…(冷汗)。完成ヴァージョン、デモ、断片等、様々な状態のものが存在する曲なので、ここでは主なものを中心に取り上げて行きたいと思います。

(a)Single及び『Smiley Smile』版(Mono)

 1967年7月にシングルとして発表され、直後にアルバム『Smiley Smile』にも収録された、今まで聞き慣れたヴァージョン。厳密には『SMiLE』の製作が中止になった後、改めてレコーディングされたもので、「In the Cantina...」と歌われるパートが削除された代わりに、「Heroes and Villains〜♪」というマイナー調で、ハープシコードが印象的なパートがある等、曲構成はかなり変更されています(といってもこれは後から出たヴァージョンと聴き較べた上で言える事で、リリース順ではこれがオリジナル盤とも言えます)。ブライアン・ウィルソンによるライナー・ノーツにある通り、作者2人が元々描いていたものは、このシングルとして発表したヴァージョンとは違っていたようです。
『Smiley Smile』(1967年)

(b)Single及び『Smiley Smile』版(Stereo)

 シングルとして発表されたヴァージョンを、マルチ・トラック・テープから新たにステレオ化したもの。2001年発表の未発表音源集『Hawthorne,CA』で初登場した後、いくつかの編集盤にも収録されています。
『ホーソーン、カリフォルニア-伝説が生まれた場所(レア・トラックス)』(2001年)
『カリフォルニア・フィーリン~ベスト・オブ・ビーチ・ボーイズ~選曲:ブライアン・ウィルソン』(2002年)
『サウンズ・オブ・サマー ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ビーチ・ボーイズ』(2004年)

(c)Alternate Take (Part 1)

 『Smiley Smile / Wild Honey』(1990年)のボーナス・トラックや『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』のDisc 2に収録されていた別テイクで、『SMiLE』制作時に作成されたヴァージョン。今回発売の"デラックス・エディション"のDisc 2では"Part 1"とクレジットされています。
 音質から察するとアセテート盤から起こしたような録音状態で、最後のパートのみテープの音源を使用したのか、録音状態や音質が変わります。今回収録されたものはフェイド・アウトが少しだけ長め。

 違いが特にわかり易いのはリード・ヴォーカルで、(a)(b)とは明らかに別テイク。途中からマイナー調で「Heroes and Villains?♪」となるパートがなく、代わりに「In the Cantina...」という歌詞が出てくるマイク・ラヴが歌うパートが含まれています。
 そして曲の最後のパート「アーハーハーダンビドゥビドゥ…(って聞こえる)」は7曲目「My Only Sunshine」の後半に移動しています(といってもミックスは異なる)。
『Smiley Smile / Wild Honey』(1990年)
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

(d)Sections (Mono)

 『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)が初出の、「Heroes And Villains」のいくつもの(数秒単位の)断片を約6分にわたり並べたもの。ちなみにMono Mix。非公式音源でも似たようなものが90年代前半に出回っていました。
 ドキュメンタリーDVDの中の、ブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスがこの曲について回想する場面を観ると、曲自体は短時間で書けたようで、いざレコーディングとなった所で、何ヶ月も取り組んで行くうちに、パーツが大量に作られ、収拾がつかなくなってしまった。そしてここで聴けるのがその断片集という事で。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

(e)Sections (Stereo)

 ボーナス・トラックの22曲目に収録されているもので、(d)のStereo Remix。ただしこれも再構築されており(d)に含まれていない音や断片も含まれています。

(f)「Heroes And Villains (Part 2)」

 デラックス・エディションのDisc 2、3曲目に収録されているもので、これも様々なパーツを繋げたもの。(d)(e)よりやや短く、4分台に編集されています。

(g)2011年版 (Mono)

 今回収録された2011年版。曲の構成は2004年ブライアン版を基に再構築されています。そのため、主にリード・ヴォーカル等で『Smiley Smile』用に録音されたテイクも含まれています。

(h)2011年版 (Stereo)

 ボーナス・トラック21曲目に収録されている、(g)のStereo Mix。

(i)Demo

 1998年発表の未発表音源集『エンドレス・ハーモニー』で初公開されたデモ音源で、1966年11月録音。ブライアン・ウィルソンがピアノを弾きながら歌い、後半でヴァン・ダイク・パークスも登場。
 この音源では途中で「I’m In Great Shape」「Barnyard」が歌われており、今回の2011年版で部分的に採用されています。
『Endless Harmony』(1998年)

※この他にもこの曲の断片が数多く存在し、それらはコレクターズ・ボックスのDisc 2に収録されています。

4. Do You Like Worms (Roll Plymouth Rock)

 初出は『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)ですが、今回は2004年ブライアン版を基に再編集されています。そのためいくつか細かな違いがあり、主に1993年版はハープシコードのパートでフェイド・アウトするのに対し、2011年版ではコーラスでエンディングを迎える。
 また、ビーチ・ボーイズ版は完パケ前に録音が中止となったため、歌詞の一部(Aメロ?)が含まれていない。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

5. I’m In Great Shape

 この曲もヴォーカル・パートが録音されていない未完成状態だったため、これまで未発表だったバッキング・トラックと、『エンドレス・ハーモニー』収録の「英雄と悪漢 (Demo)」からヴォーカルの一部を合成させています。日本盤の解説書では"マッシュ・アップ"という表現が使われていますが、大雑把で昔風に言うと"はめ込み合成"です。
 また、2004年ブライアン版では第3楽章のオープニングとして発表されましたが、元々は「英雄と悪漢」と連なる作品という事で、今回は第1楽章に移動しています。
『Endless Harmony』(1998年/リンク先は2000年米再発盤)

6. Barnyard

 この曲もリード・ヴォーカルのパートが録音されずに破棄された未完成状態だったため、対策としてこれまで未発表だったバッキング・トラックと、『エンドレス・ハーモニー』収録の「英雄と悪漢 (Demo)」から、ヴォーカルの一部を抽出→合成させています。両者はテンポがまるで違っていたため、ヴォーカル部分をピッチを変えずにスピードのみを上げ、バッキング・トラックにはめ込まれています。ハードディスク・レコーディング/編集が可能になった現代ならではといった所。
『Endless Harmony』(1998年)

7. My Only Sunshine (The Old Master Painter / You Are My Sunshine)

 ビーチ・ボーイズ版は今回が初登場、タイトルも「My Only Sunshine」に変更されています。ヴォーカルはデニス・ウィルソン。
 また、今回は2004年ブライアン版よりも曲が長くなっており、後半に「英雄と悪漢 (Alternate Take)」に含まれていた「アーハーハーダンビドゥビドゥ…(って聞こえる)」のパートが付け加えられています(+つぶやきのようなヴォーカル・パートも聞こえる)。
『Smiley Smile / Wild Honey』(1990年)

8. Cabin Essence

 初出はアルバム『20/20』(1969年)で、タイトルは「Cabinessence」とされていました。『20/20』に収録されるにあたり1968年秋、未完成トラックにカール・ウィルソンがリード・ヴォーカルを加えています。

●『20/20』ヴァージョンではカールのリード・ヴォーカルがADTでダブル・トラック処理されていましたが(左右に振り分けられている)、今回作成された2011年版Mono Mixはシングル・トラック。『20/20』ヴァージョンとの大きな違いはこの点のみ。ちなみにデニスのパートはADTによるダブル・トラック、マイクのパートはADTではなく2度歌ってのダブル・トラック。
『20/20』(1969年)

●Mono Mixは1981年発表の7枚組ボックス・セット『The Capitol Years(邦題:ビーチ・ボーイズ・ボックス カリフォルニアより愛をこめて)』(CD=東芝EMI TOCP-6151?57)のDisc 5"Timeless"にも収録されていますが、こちらは『20/20』ヴァージョン同様にカールのリード・ヴォーカルはダブル・トラック。音の感じからするとStereo MixをMonoに落としたような印象で、後半のマイク・ラヴのヴォーカルがよく聞き取れない。(追記:2012年1月15日)

9. Wonderful

 『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』で初出のテイクに近いですが、今回はバック・コーラスにブライアンのヨーデル風のコーラスが加わっています。ちなみに『Smiley Smile』(1967年)収録のテイクは、あのアルバム用に録音されたリメイク版でした。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

10. Look (Song For Children)

 ビーチ・ボーイズ版は今回が初登場、タイトルは原題が用いられ、2004年ブライアン版の曲名は副題扱いになっています。ここからは2004年ブライアン版との違い等に触れてみたいと思います。
●1966年に録音されたものはヴォーカルがなく、インストゥルメンタル。また、曲に不釣り合いなドラムのパートも含まれた音源もありますが、最終的には大部分カットされています。
●1966年に録音されたものは途中で「12th Street Rag」という曲のワン・フレーズが2回登場する。
●2004年ブライアン版は「Song For Children」というタイトルが付けられ、新たにリード・ヴォーカルと、前後の曲への関連性を伺わせるバック・コーラスが加えられている。
●2004年ブライアン版では「12th Street Rag」のフレーズがカットされている。
●2004年ブライアン版ではエンディングがフェイド・アウトではなく、次の曲へと繋がるように編曲されている。
●2011年版は1966年版を基に、2回登場していた「12th Street Rag」のフレーズのうち1回目(1分44秒付近)をカット。また、別の音源素材から「child,child,the child...」というバック・コーラスが合成で付け加えられています。エンディングはフェイド・アウトしながら次の曲へと繋がります。

11. Child Is Father Of The Man

 ビーチ・ボーイズ版は今回が初登場ですが「child,child,the child...」というコーラス・パートだけは「Surf's Up」の後半部分で取り入られていました。曲の構成は非公式で出回っていた音源や2004年ブライアン版とも異なる編集になっています。
●2004年ブライアン版にはリード・ヴォーカルが加えられています。
●2011年版では、2004年ブライアン版にはなかったヴォーカル・パートでスタート(前半24秒)。また曲後半、1分41秒から聞き慣れない高音のコーラス・パートが登場。この部分のみスクラッチ・ノイズが聞こえる。
●小ネタ1(追記:2011年12月4日):『Friends』(1968年6月)収録のデニス・ウィルソンのナンバー「Little Bird」の後半、1分24秒付近のドラムとホワホワ鳴ってるトランペット、よく聴くとこの曲のソレとそっくりですね…って、ただそれだけです(笑)。にしても今頃になって気付くとは…。「こんな所にもSMiLEの残像が」ネタという事で。
●小ネタ2(追記:2012年1月3日):マルチ・トラックには、リード・ヴォーカルが歌っていない部分で、ボツになったと思われるバッキング・ヴォーカルが微かに聞こえるらしい。ヴォーカリストが付けていたヘッドフォンから漏れてきた音と思われる。(出典:『Sound & Recording(December 2004)』掲載のマーク・リネットの発言より)。

12. Surf’s Up

 初出はアルバム『Surf’s Up』(1971年)。1971年版では前半のリード・ヴォーカルはカールでしたが、『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』で初出のブライアンの"Piano Demo"からヴォーカルのみを抽出し、"1st Movement"と題されたバッキング・トラックと合成させています(カールのヴォーカル・パートもごく一部が使われている)。両者は別々に録音されたものなので演奏のスピードも当然違います。それをハード・ディスク上で巧みに微調整したようです(そのため、タイミングが所々ずれて聞こえるのが耳につく…ちょっとこれは意見の分かれる所ですね)。

 約10年程前、"Millennium Edition"と副題の付いたブートでも同じように合成させたものが収録され、ネット上や音楽雑誌等で物議を醸した事がありましたが、やはりそれもぎこちなさは否めませんでした。今回はそれをオフィシャルでやってみましたって事で。

 ちなみに2004年ブライアン版では、曲の途中から1971年版にはなかったストリングスが登場します。スコア自体は2004年版のために書かれたものですが、1966年の時点でブライアンはストリングスを入れるつもりだったようです(出典:『Sound & Recording(December 2004)』掲載のダリアン・サハナジャの発言より/追記:2012年1月3日)。

(a)1971 Version
『Surf’s Up』(1971年)

(b)Piano Demo (Mono)
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

(c)Piano Demo (Stereo)
『スマイル(デラックス・エディション)』(2011年)

(d)Surf's Up 1967 (Solo version)

 今回新たに発掘された別テイクで、ブライアンがピアノを弾きながら歌っています。"SMiLE"セッションよりも後に録音されたものらしい。たしかにピアノの音からして『Smiley Smile』『Wild Honey』の中で聞こえる音に近い。

(e) 2011 Version (Mono)

 今回の12曲目及びCollector's Boxの7インチ・シングル盤に収録のヴァージョン。詳細は上に書いた通り。

(f) 2011 Version (Stereo)

 (e)のStereo Mixがアナログ盤2LP、4面に収録されています。未CD化及び未配信音源。詳細はその4をご覧ください。(追記:2011年12月22日)

13. I Wanna Be Around / Workshop

 ビーチ・ボーイズ版は今回が初登場。「I Wanna Be Around」はカヴァー曲で、Johnny MercerとSadie Vimmerstedtの作品。1963年にトニー・ベネット版がヒット、他にJames BrownやElla Fitzgerald等多くの人に歌われています。この曲も2004年ブライアン版にあったリード・ヴォーカルのパートはなし。
 また、後半の"Workshop"(金づち等の音のパート)はかつて「Do It Again」のアルバム・ヴァージョンの後半に挿入される形で発表されていました。
『20/20』(1969年)

14. Vega-Tables

 『Smiley Smile』(1967年)で"Vegetables"というタイトルで発表された曲ですが、そちらはリメイクとSMiLEセッションの一部を組み合わせたものでした。 今回収録された"2011年版"は、『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)が初出の1966年録音版テイク(途中で"Mama Says"が含まれている)を基に、最良のパーツを巧みに組み合わせ、1993年版のアップ・グレード版と言える仕上がりに。1993年版では聴かれなかったバッキング・トラックがあったり、曲の尺も長くなっていたり。
 なお"Mama Says"のバートは『Wild Honey』(1967年)に独立した曲としてリメイクされ発表されています。

(a) 1993 Version

 これは恐らく1967年当時に編集されたものではなく、ボックスに収録にあたって編集されたものではないでしょうか…というのも、テープのつぎはぎ編集が多い中、この曲だけ途中でクロスフェイドしている箇所があるのがなんだか引っかかるというか。ちなみに前奏はなく、いきなり歌から始まる。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

(b) 「Vegetables」Smiley Smile Version

 『Smiley Smile』用に録音されたリメイク・ヴァージョン。
『Smiley Smile』(1967年)

(c) 「Vegetables」Stereo Extended Mix

 基本的には『Smiley Smile』に収録されているものに近いですが、こちらは新たに作成されたStereo Mixで、(b)に含まれていなかったパートも登場します。
『ホーソーン、カリフォルニア-伝説が生まれた場所(レア・トラックス)』(2001年)

(d) 「Vegetables Promo」(Instrumental Section)

 タイトルに"Promo"と書かれていますが、これは後から作られたもので、「Vega-Tables」の一部の演奏部分とブライアン・ウィルソンとハル・ブレインの会話を重ね合わせたもの。
 ちなみにこの演奏部分は、デラックス・エディションのDisc 2の10曲目、「Vega-Tables:Fade」というタイトルで収録されています。
『ホーソーン、カリフォルニア-伝説が生まれた場所(レア・トラックス)』(2001年)

(e)「Vega-Tables demo」
 
 ボーナス・トラック23曲目には歌詞やコーラス・パターンが異なるデモ・ヴァージョンが収録されています。

(f) 2011 Version (Mono)

 今回の14曲目に収録されたヴァージョン。ここでは都合上"2011 Version"と表記します。

(g) Mono Single Version

 こうクレジットされているわけではありませんが、都合上"Mono Single Version"と表記します。Collector's Boxの7インチ・シングル盤に収録されているものは、イントロがなく歌から始まるほか、(f)にはないバッキング・ヴォーカルが挿入されています。未CD化及び未配信音源。(追記:2011年12月22日)

(h) 2011 Version (Stereo)

 (f)のStereo Mixがアナログ盤2LP、4面に収録されています。未CD化及び未配信音源。詳細はその4をご覧ください。(追記:2011年12月22日)

15. Holidays

 ビーチ・ボーイズ版は今回が初登場。2004年ブライアン版では「On A Holiday」というタイトルで発表、リード・ヴォーカルのパートもありましたが、ビーチ・ボーイズ版はインスト。
 また、この曲も2004年ブライアン版に近づけたため、曲後半に『Smiley Smile』版「Wind Chimes」から「Whisperin' winds send my wind chimes are tinklin'...」のコーラス・パートを抽出し、スピードを微調整した上で挿入されています。これは非公式音源には含まれていませんでした(どこか「きょうの料理」のテーマ・ソング風(笑)なマリンバのパートでフェイド・アウト)。

16. Wind Chimes

 『Smiley Smile』(1967年)で発表された曲ですが、そちらはリメイク版でした。今回は『Good Vibrations: Thirty Years of the Beach Boys』(1993年)が初出の1966年録音版テイクを基に収録。これも2004年ブライアン版を基に再構築されており、曲の中〜後半でビーチ・ボーイズ版ではこれまで未発表だったバッキング・トラックが付け加えられています。
『Good Vibrations: Thirty Years of the Beach Boys』(1993年)

17. The Elements: Fire (Mrs. O’Leary’s Cow)

 ビーチ・ボーイズ版はこれまでビデオ作品『An American Band』のワン・シーンで一部が聞けたのみでしたが、今回は2004年ブライアン版を基に、『Smiley Smile』(1967年)収録の「Fall Breaks And Back To Winter (Woody Woodpecker Symphony)」からヴォーカル・パートを抽出し、スピードを微調整した上で合成・挿入されています。

「Heroes And Villains (Intro)」

 前半約35秒のパートは、『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)では何故か「Heroes And Villains (Intro)」というタイトルで発表されていました。元々は「Heroes And Villains」の断片の一部としてレコーディングされたもののようです。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

18. Love To Say Dada

 『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)が初出で、今回は2004年ブライアン版を基に改めて再構築されています(そのため最後に「Our Prayer」の一部が付けられている)。

 2004年ブライアン版や今回の2011年版では前半に「Water,Water,Water,Water〜っ♪」という、1970年に「Cool,Cool Water」の中間部として発表されたパートが含まれていますが、1993年版には含まれていません。

 また、2004年ブライアン版では新たに歌詞が加えられていましたが、今回の2011年版では歌詞はなし。ただし「Cool,Cool Water」のコーラス・パートの一部が合成されています。このコーラス・パートは『スマイル(デラックス・エディション)』のDisc 2収録の"Version 2"、及び『サンフラワー』収録ヴァージョンで聴く事が出来ます。

(a)「I Love To Say Da Da」1993年版
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

(b)「Cool,Cool Water」(1967年録音版)
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)

(c)「Cool,Cool Water」(1967年録音版・Version 2)
『スマイル(デラックス・エディション)』(2011年)

(b)「Cool,Cool Water」(1970年版)
『サンフラワー』(1970年)

19. Good Vibrations

 2004年ブライアン版ではトニー・アッシャーが書いた歌詞で歌われていましたが、今回は1966年にシングルで発表されたテイクを基に…と、やはりそのままではなく、「ハン・ビ・ダーン、ハーンビダーンウォーオーッ(って聞こえる)」のコーラス・パートが含まれていたり、エンディング部分が別テイクになっていたりと変更あり。

 この曲の別ヴァージョンはセッション風景等も含めると多数存在し、今回のリリースでさらにややこしい事になっています(汗)。それでもCDシングル「Good Vibrations」(米Capitol 09463 44962 2 3/2006年)である程度まとめて聴けるようになりました。ここからはセッションやライヴ・テイク以外の、スタジオ録音のヴァリエーションを紹介したいと思います。

Good VibrationsGood Vibrations
(2006/06/27)
Beach Boys

商品詳細を見る

(a) Original 45 rpm single version

 1966年にシングルで発表され、アルバム『Smiley Smile』(1967年)にも収録された、聞き慣れたお馴染みのヴァージョン。後々ややこしくなるのでここでは"レギュラー版"と称したいと思います。
『Smiley Smile』(1967年)
『Good Vibrations (40th Anniversary)』(2006年)

(b) Long Version

 基本的にはレギュラー版(a)とほぼ同じですが、エンディング部分が差し替えられており、そのためフェイド・アウトが微妙に長い。
『Endless Summer』(米DCC GZS-1076/1995年)

(c) Instumental

 1993年発表のボックス・セット『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』でセッション風景と共に収録されていたインストゥルメンタル・ヴァージョン。しかもStereo Mix。マルチ・トラックが残っていたために作成可能だったわけですが、さすがにリード・ヴォーカルのマルチは発見されていないのか、レギュラー版(a)のStereo Mixはいまだ登場せず(※2012年7月に"Stereo Extraction Mix"なるステレオ版が登場。『Smiley Smile』の2012年リマスター盤に収録)。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』(1993年)
『Good Vibrations (40th Anniversary)』(2006年)

(d) Alternate Take

 1983年に登場した別テイク。カールのリード・ヴォーカルがなく、バッキング・ヴォーカルもサビでのブライアンの歌い方が異なる。また、テルミンに深いエコーがかけられ、2分12秒付近からレギュラー版では聴けないファズ・ベースを含んだバッキング・トラックと「ハン・ビ・ダーン、ハーンビダーンウォーオーッ(って聞こえる)」のコーラス・パートが登場する。
『Rarities & Beach Boys Medley』(TOCP-3329/1997年)
『Good Vibrations (40th Anniversary)』(2006年)

(e) Alternate Edit

 (d)の別テイクに、下で紹介する初期テイクのブライアンのリード・ヴォーカルを追加したもの。Coeector's BoxのDisc 5に収録。(追記:2011年12月22日)

(f) Early Take (Mono Mix)

 初期テイク。ブライアンがトニー・アッシャーの歌詞で歌っている。まだマイク・ラヴのパートや歌詞はなく、演奏のノリや歌い方もR&B風。
『Smiley Smile / Wild Honey』(1990年)
『スマイリー・スマイル』(TOCP-53171)

(g) Early Take (Stereo)=Good Good Good Vibrations (first version with overdubs)

 (f)の初期テイクのステレオ・ミックス。Collector's BoxのDisc 5に「Good Good Good Vibrations (first version with overdubs)」という表記で収録。(追記:2011年12月22日)

(h) Early Take (Stereo Backing Track)

 上記(f)(g)のバッキング・トラック。ただしこちらはStereo Mixになっています。
『The Pet Sounds Sessions: A 40th Anniversary Collection』(1997年)

(Bonus Tracks)
20. You’re Welcome

 1967年7月発表のシングル「Heroes And Villains」のB面曲で、オリジナル・アルバムには未収録。これも"SMiLE"セッションの中でレコーディングされたもの。
なお、Collector's BoxのDisc 4には別テイクが収録されています。

21. Heroes And Villains (Stereo Mix)

 1曲目のStereo Mix。

22. Heroes And Villains Sections (Stereo Mix)

 『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』で登場した断片集のステレオ版。ただしそこには含まれていない断片も加えられています。

23. Vega-Tables Demo

 歌詞やコーラス・パターンが異なるデモ・ヴァージョン。

24. He Gives Speeches

 これも今回初登場の断片の一つで、これが後に歌詞や構成が変わり、「She's Goin' Bald」としてアルバム『Smiley Smile』に収録されます。ちなみにヴォーカル・パートとピアノがブライアン、ベースがカール、ドラムがデニス。
『Smiley Smile』(1967年)

25. Smile Backing Vocals Montage

 "SMiLE"セッションから数曲のバッキング・ヴォーカルのみをピック・アップしたもの。ちなみにStereo Mix。

26. Surf’s Up 1967 (Solo version)

 今回新たに発掘された別テイクで、ブライアンがピアノを弾きながら歌っています。"SMiLE"セッションよりも後に録音されたものらしい。

27. Psycodelic Sounds: Brian Falls Into A Piano

 曲ではなく、コントのようなやりとりが収録されています。なお、28曲目にも音源が入っています。いちおうシークレット・トラック扱いにはなっていますが、日本盤ブックレットには何故かクレジットされています。

The Beach Boys『THE SMiLE SESSIONS』(その3・デラックス・エディション) へつづく。
My Favorite Albumsのページに戻る。
(作成 :2011年11月3日/更新:2011年11月20日、12月22日、2012年1月3日,15日,11月15日 / Special Thanks : Mさん、Nさん、Aさん)
関連記事
[ 2011/11/20 15:11 ] The Beach Boys関連 | TB(-) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する